第二十五話 ページ26
『君がコウだな？』
は、と、現実に引き戻される。
吃驚した、本当に驚いた。“威厳”ってこういうものなのか。重く、大きく、何もしていないのに、畏怖すら感じさせる。
テーブルを回ってきた相手が僕の呼び名を言ったのに気付き、ゆっくり頷いた。
『ようこそwrwrd国へ。君の身元の調べがつくまではこの城から出せないが、どうかゆっくりしていってくれ。』
白手袋をはめた右手が差し出される。
反射的に僕も手を出して相手の手を握ると、大きくがっしりとした手で力強く握られた。
『トントンとエーミールから話は聞いている。異国の出だそうだな？』
「えっと…」
『宜しければ是非貴君の故郷の話や国の歴史をお聞かせ願いたい！うちの情報収集班と知識の宝庫がお手上げの言語なんてそうそうないからな、知識欲が刺激される。』
「えと、その、えっと？」
『？もしかして戸惑っているのか？なるほどこれが…』
握手だと思ったらなんか急に距離を詰められている。
昨日の空色の人ほどではないが、なかなかに迫力が、というか勢いがあった。
どうしよう、明らか偉い人って感じなのに何も言葉を返せてない。そういえば一晩のお宿のお礼も言えてないし食事も、後多分服も…えーと…駄目だ衝撃で頭が固まってる。寝起きで偉い人に会うなんて思わないじゃない？
というか本当に、もっと語学を真面目にやればよかったかもしれない。かもしれないってか、やればよかった。訛りの有無くらいしか習ったことないから油断していた。
と、変な方向へ思考が飛んでいると、
『コウよ』
「！はいっ」
突然名前を呼ばれて、反射的に背筋が伸びた。元々きちっとしてたけど更に伸びた気がする。多分今定規より真っ直ぐだ。
『グルッペンだ。言ってごらん。』
「？」
『ぐ、る、っ、ぺ、ん』
不意にいやに優しい声になって、青い眼の人は自分を指差し、再度同じ言葉を口にした。
名前を教えてくれていると何となくわかり、必死に慣れない形に舌を動かす。
「ぐ、ぐぅるっ、ぺん？」
『おしい、る、だ。る。』
「ぐるっ、ぺん。」
『そうそう、できるじゃないか。よーし、次はグルさんだ。ほら、ぐ、る、さ、ん。』
「？ぐ、ぐぅる、さん？」
あれ？名前を教えてくれてるんじゃなかったの？
ただ只管、ゆっくり発音される言葉をなぞる。何なんだろうこれ。何かのテストなのかな。
＊＊＊
解像度が低いので総統を喋らせるの難しいです…申し訳ない。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
