第十一話 ページ12
『今日は此処に泊まってもらうで。まだ夕飯食べてないやろ？後で誰かに持ってって貰うから、それまで待っててくれや』
とんとんさんは何かを話した後、軽く手を振ってドアの向こうに消えた。
足跡が遠ざかっていくのを
柔らかい布団がすっぽりと包み込んでくれて、きしきしとスプリングが軋むのが聞こえた。
「……此れから、どうしよう」
先程までずっと緊張していたからか、1人になって気が緩むと、どっと頭の中に情報の濁流が流れ始める。
突然訳のわからない状況に放り込まれて、状況を整理しようとしても、僕の脳味噌は混乱するばかりだった。
「……そうだ、手帳！」
跳ね起きて、先程見たドレッサーの上の手帳を見る。
小走りで机まで行くと、その前にある背もたれのない丸椅子に腰掛けた。クッションが一体化してるタイプで、お尻の下がちょっとふわふわする。
慣れない羽根ペンを手に取り、インク瓶の蓋を開ける。中の液体を零さないように気をつけながらペン先を浸し、漫画の見よう見まねで手帳の真っ白な紙に文字を書き始めた。
・とんとん:赤いマフラーに豚の頭
・えーみーる:薄い茶色の髪に白い目
・緑の人:こわい。鍛えてる？
・学校から家に帰って荷物を置いて、いつものところに昼寝に行ったら、知らない森に移動してた。誰かが誘拐？
・とんとんさんが僕を要塞みたいな場所に連れてきた。軍か何かの基地みたいに見える。
・広い部屋に通されて、とんとんさんがえーみーるさんを連れてきた。2人は僕の言語を理解しようと必死になってくれたけど、日が暮れても名前以外に収穫はなかった。
まるで幼い子供が書くみたいなことを、インクを引っ掛けながら一生懸命ペン先を走らせる。
途中インクが染みるのでは？という事に気がついて袖を捲り、少し考えてから、次は僕について書く事にした。
僕の存在証明の為に、って言ったら大袈裟かも知れないけど。何かがあって、万が一、億が一にも故郷を忘れてしまった時のために。
・僕の名前は『A』、歳は16、性別は♂(両性)。此処では『コウ』って呼ばれることになったみたい。
・△△校の1-C、出席番号は26番。
・■■の〇〇に住んでいて、両親は2人ともいる。父は29歳、母は30歳。
・近所に住む親友が1人いる。性別は、今時珍しい？のかな、単性の♂だ。
等。
沢山、思いつく限り沢山書いた。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
