プロローグ ページ1
甘くて気怠い微睡の中、そっと溜息みたいに息を吐き出す。
とっくに深い意識からは抜け出してるのに、瞼の向こうの眩しい光を直視する気にはなれなくて、むずがる様に目を閉じたまま心地よい浅い眠りに身を任せていた。
そっと質量のない手で頬を撫でる優しい微風も、さわさわと子守唄を囁くように蠢く雑草の音も、全てが心地良い。
邪魔するのは誰もいない、普段の喧騒からはかけ離れた静かな場所。
時折深い眠りに足を滑らせて音が遠のくが、それすらも娯楽の一つとして噛み締めて____…………
『おい。』
ぱ、と意識がスポットライトを当てられたみたいに覚醒した。
低くて聞き覚えのない声に、きょとり、と視線を動かす。
灰緑の服に、目が覚めるような赤色のマフラー。遥か頭上にある頭は柔らかいピンク色の豚で、何処か怒っているみたいな、警戒してるみたいな顰めっ面をしていた。
そのまま、さっきと変わらない声音で話す。
『お前、どこの国の者や？どっから入ってきた？』
「……？？？」
怒ってる？のは、わかるんだけど…
よその国の人なんだろうか、まるで喋っていることがわからない。訛りや方言にしたって聞き取れなさ過ぎて、申し訳なさを感じながら聞き返した。
すると今度は変な顔をして、短い言葉を発する。…うーん、やっぱり聞き取れない。
でも、機嫌が悪そうな理由、は…此処が私有地だからってことくらいしか、思いつかないな。ここが私有地なんて知らなかったけど。
そう考えながら立ち上がってズボンの草を払ってから、気がついた。
「………え？」
『おい、』
「此処どこ…………？」
ここ、僕の知ってる場所じゃ、ない。
僕のお気に入りのあそこは、もっと広々としていて、丘の上の方にあって、街がよく見渡せる場所にあった。葉っぱが生い茂った林があって、昼間でもちょっと暗いけど、入り口付近はそうでもなくて。その入り口の近くの大きな木の根元で眠るのが、僕のお気に入りで………
けど此処は違う。
どこまでも続く森。葉っぱは青々としていて、たくさんある隙間からは眩しい日の光が差し込んでいる。
向こうのほうには川があるらしく、ざぁざぁと勢いよく水の流れる音が聞こえた。
此処はどこ？僕はあのハンモックの中みたいなあそこで眠っていたはずなのに。
誰かに誘拐された？どうして？なんのために？なんでわざわざこんなとこにまで運ばれたの？ここは、どこなの？
ぼくの家は、どこ？
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
