49話 ページ3
タッチの差くらいだったろうか、
諒が会計を済ませ、後部座席のドアをスライドさせ、中に入ってきた。
外の冷たい空気で、少し鳥肌が立った。
さっき、部屋で諒に耳元で言われた言葉を思い出す。
『マサイと寝たろ......』
確実に的を得た言葉は、諒だからわかるんだなと、あの時は場違いだけど感心してた。
今思えば、なんかイラついているような声音だった。
なんか、やらかしたっけ......
思い当たる節は特にない。
いや、あるにはあるけど、それらはもう許しを得たものばかりだし......。
諒は特段ねちっこくないし、おおらかで寛大だ。
まとめてあった要らない雑誌を、片付けてないと思って、全部本棚に戻したりしたことを、根に持ってるなんて到底思えない。
俺は些細な勘違いしかしてないと思う。
うーん、なんだろ、俺の今日の態度がダメだったかな?思い当たる節はないけど。人から見た自分なんてどう映ってるかわからない。
諒に嫌われるのは嫌だなぁ......なんか、悲しくなってきた。
イク:はぁ........
シルク:酔いと深夜のテンションな
俺がため息をついたのと同時に諒が何か言ったが、
何を言ったのか聞こえず、後部座席を振り向いた。
ごめん、聞こえなかった。と、言おうとした瞬間、何か柔らかいものが唇に触れる。
至近距離で諒と目が合った。
......??!
突然のことで、反射的に諒の肩を押して、顔を離した。
イク:!!!!???っっ....ちょ、、どうs
説明を、求めようとしたが、後頭部をグイッと、引き寄せられて、
言葉になる前に諒に口を塞がれ、その舌で翻弄される。
イク:!!っっ、んっ、ぁ、っ......んん、ぅ、、ん、
息がうまく吸えなくて、変な声も出て、恥ずか死にそう。
だけど、この主導権のないキスをする諒の、
ギラついた瞳が、気持ちを昂らせてくる。
どうして、こんなことされてるのかはわからない。
諒と付き合ってたことは過去のことで、俺はフラれたんだ。
だから、尚更わからない。
諒が外を伺うように視線を移した。
会計が終わる二人を確認したんだろう、ゆっくり唇を離していった。
多分、どうしようもないくらい顔が真っ赤だ。
羞恥心と罪悪感の間に、少しの幸せを思い出した。
パーカーのフードをズリっと目元まで下げ、前を向く。
あぁ、泣きそうなのはなんでだろ......
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suga(プロフ) - ☆SIRO★さん、拝見していただき誠に恐縮です。フラグの件、理解が及ばずにチェックをしていませんでした。ご指摘本当にありがとうございます。助かりました。 (2019年12月11日 11時) (レス) id: 5f12be8acb (このIDを非表示/違反報告)
☆SIRO★(プロフ) - コメント失礼します。この作品とっても素晴らしいですね。これからも作者様のペースで更新頑張ってくださいませ♪ただ、オリジナルフラグは外した方が宜しいですよ。 (2019年12月10日 15時) (レス) id: c894bfb1ec (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2019年12月9日 10時