偽り彼女。 (ページ10)

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望side

大毅くんと放課後デートの日は、中学校からダッシュで帰って、姉貴に教えてもらった簡易的なメイクをして、制服を着替えてカツラを被り家を出るんやけど、今回は前日のうちにカツラの髪の毛をアレンジしてみた。

元々美容師になりたいと思ってたから、ヘアアレンジとかそういうのも楽しくて"大毅くん気付いてくれるかな"なんて淡い期待を抱きながら校門で待つ。

大毅くんは流星が思っているほど鈍感じゃなくて、些細な変化にも気付いて褒めてくれんねん。

それがちょっと嬉しくて。

校門から出て来た大毅くんに、控えめだけど手を振れば、笑って手を振り返してくれる。

袖を掴めば、何も言わずに恋人繋ぎもしてくれる。

こんな完璧な彼氏だから時々思ってしまう。

俺なんかが大毅くんの大切な時間を奪って、嘘ついて付き合っててもええんやろかって。

特にそろそろ夏の暑い時期になって来たら、女子の露出も増えるし、中学2年生というバリバリの成長期で隠せないぐらい身長が伸びて来ている。

だから、どうにか小さく見える様にって思ったら少し猫背になって来ちゃった。

人通りが多い所だと、同じ中学の人とすれ違う事もあって

望「大毅くんみて！あのカチューシャめっちゃ可愛ええ！」

大毅「のんちゃんああいうの好きなん？」

望「うん、私似合うかな？」

大毅「のんちゃんやったら似合うと思うな。あ、あっちのピンク色のシュシュとかどう？めっちゃ似合うと思うねんけど。」

望「え〜ホンマ？」

なんて言って自然に視線を雑貨屋さんの方へ移し、中学生に顔が見えないようにしたり、同じクラスの子に声をかけられた時には流石に終わったと思った。

俺の中学校生活も、大毅くんとのこの関係も。

でも、苦し紛れに男の子が苦手だと言えば、大毅くんが対応してくれてバレることは無かった。