嗚咽 ページ27
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マサさんも加わって、4人で空気圧の確認してると、スマホが鳴る。
やべ、切ってなかったって焦って画面を見るの「山崎咲良」。
出ろよってマサさんが言うから、失礼しますって一応断って電話に出る。
「もしもし?」
山崎「…A、いまいい?」
「あ、うん。どうした?」
山崎「…あの、この間は、…ごめん」
「ああ、もういいけど、なんであんなことしたの?」
山崎「ちょっと、考え事してた」
「そっか…。もうしないでよ?」
山崎「うん、ほんとごめんね」
毎度、時間が経てばこうして電話で謝ってくる。
アキさんがこっちをちらっと見て、「大丈夫か?」って目で聞いてくる。
それに頷けば、うんうんって満足した顔。
オカンか。
「あっ、そうだ咲良。ついでにもうひとつ。次帰るときにノート返してもらっていい?」
山崎「…あっ、ええっと、」
「うん?」
山崎「そのこと、なんだけど…」
しばらくの沈黙の後、咲良の口から出た衝撃のセリフ。
私はショックで、しばらく口を開くことができなかった。
彼女は半笑いの口調でこう言った。
「随分前に、Aと喧嘩した腹いせに捨てちゃったんだよね」って。
…捨てた?
私の10年間のバレーへの思いが詰まった、あのノートを、捨てた?
…やばい、固まって動けない。
電話を耳に押付けたまま動かない私に、祐希が気づいて、アキさんに何か言う。
そしたらアキさんが慌ててやってきて言った。
山内「…お前、何泣いてんの?」
「えっ…」
私は、いつの間にか泣いてたみたいだ。
急いで涙を拭って、咲良になにか言おうとするけど、嗚咽しか出ない。
私の努力の10年間を、あんたよくも、そんな簡単に捨てれるわねって。
しかも笑いながらごめんって、全然反省してないじゃない。
喧嘩した腹いせに捨てたって…。
随分前って大学の頃?
もう子どもでもないのにそんなことするの?
今までどんな気持ちで私と接してきたのよ。
今度持ってくるねって言ってたのも、あれも嘘だったってこと?
…気が狂いそうだ。
思わず、膝から崩れ落ちる。
すると、マサさんと祐希もやってきた。
アキさんが、また過呼吸になりかけてる私の背中を摩ってくれる。
そしてマサさんは無表情のまま私のスマホを奪い、咲良と話し始めた。
アキさんとは反対側から祐希が肩を支えてくれて、「落ち着け、ゆっくり息をしろ」って言う2人の声がこだまする。
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花(プロフ) - コッペパンさん» !?!?ありがとうございます…泣泣めちゃめちゃ嬉しいお言葉…!これからもがんばります!! (2021年8月6日 8時) (レス) id: 6782c8e9bf (このIDを非表示/違反報告)
コッペパン(プロフ) - 主様の小説が好きすぎてたまりません。久原くんと男好き悪女と夢主。むっちゃスカッとしましたーー。これからも頑張ってください。 (2021年8月6日 7時) (レス) id: 35bad60104 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - もかさん» もかさああん!!ありがとうございます!!!いやぁ、嬉しいです…!ありがとうございます!!すぐ次回作準備致しますので少々お待ちくださいね!!! (2020年4月22日 21時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
もか - 花さ〜〜〜ん、お疲れ様でした!!悪女退治してスカッとしつつキュンが止まらないという、この、自粛期間にはもってこいのお話でござんした!!次も楽しみです!!! (2020年4月22日 21時) (レス) id: 2e737efd69 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - まっちゃんさん» ありがとうございます、恐縮です…!! 次回作もすぐご用意しますのでお待ちください!!!!!! (2020年4月22日 21時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花 | 作成日時:2020年4月11日 20時