きっと、ずっと、そばにいて。

過呼吸 ページ16

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パナの監督から、｢自分、めっちゃ拾うやん。プロ行かんのやったらマネせえへん？｣ってお誘いを受けた大学3年生の頃。

まあ確かに、Vリーグのお誘いが来ても全部断ってた。

続けるつもり無かったし、普通に就職して将来の夢は玉の輿からの専業主婦。

そんな中、男子の絶対王者であるパナからマネのお誘いは、｢え、私すごくね？｣って思った。

確かにさ、東海大でも男子のスパイクを拾いまくってたから抵抗はなかったけど、私なんかが役に立つのかっていう不安はあった。

4年生になって、久原と男バレマネをしてた咲良とは距離を置いてたし、まさかパナには来ないだろうって思ってた。

結果、パナに来たら2人ともいた。




｢それにびっくりしてさ、後から聞いたんだけど、久原がパナに行くことを決めてそれに咲良がついてきたらしくて｣

山内｢絶対男目当てだろそんなの｣

｢そうとは限らないでしょ｣

山内｢じゃあなんでパナなんだよ。マネしたいなら他のとこでも良くね？なんなら女子の方行けばいいじゃん｣

｢そうだけど…｣

山内｢しかもあれだけ男に飢えた奴が、彼氏を追って来るとは思えない｣

石川｢…彼氏？｣

｢咲良と久原付き合ってんの｣

石川｢え｣




まあ、アキさんの言うことも一理ある。

私は、パナに入団する前からちょくちょくお世話になってて、何度が練習にも参加させてもらってた。

選手たちとそこそこ仲良くなってたと思うの。

だけど、正式に入団して咲良が来たら、みんなそっちに移っていった。

マネとのコミュニケーションは大切だからって最初は思ってたけど、あからさまにみなさんが咲良の方へ集まって。

私の居場所はだんだんなくなっていった。

そうして1年経った頃、話す人もいなくなって、不安でストレスで寝付けなくなってだんだん痩せていった。




山内｢それである日、ドリンクを準備してたAが過呼吸になって倒れた｣

｢あははー｣

山内｢マジ焦った。だって俺とか清水さんとかは最初から相手にしてなかったし、Aが痩せていくのを気づいてたから｣

｢らしいですね｣




目が覚めたときには、病院の天井。

点滴打たれてて、ベッドの横にはアキさんがいた。

うとうとしてるアキさんと目が合って、慌ててナースコールをしてた。

軽く検査されて、ストレスと疲労と栄養睡眠不足。

ですよねーって感じだった。




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