きっと、ずっと、そばにいて。

顔が ページ2

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私には、幼なじみがいる。

腐れ縁、とかそんなのではなく。

私が無理やりくっつけてた縁。

あいつを好きになった時期なんて、もう覚えてないし、なんなら、なんで好きになったのかわからない。




久原｢…お前、何ぼけっとしてんねん｣

｢ああ、ごめんなさい…、どうぞ｣

久原｢…｣




その幼なじみ、久原翼は、私からドリンクを受け取ってありがとうも言わずに去っていく。

…彼女から貰ったら言うくせに何よアイツ。

に比べて、くにさんこと清水邦広さんは今日も笑顔で｢ありがとうなぁ！｣って、頭をポンポン。

いや、バンバン？ぐしゃぐしゃ？

力が強すぎてちょっと笑う。




｢…いって｣

山崎｢今日も手加減ないね清水さん｣

｢ほんとよ。でも嬉しいからいい｣

山崎｢大好きね〜、清水さんのこと｣

｢うん、好き。優しいもん｣

山崎｢福澤さんもね｣

｢うん。あー早く来ないかなー、ざーさん｣

山崎｢…そのネーミングセンスどうにかなんない？｣




あははってかわいく笑うのは、大学で知り合った、親友の山崎咲良。

久原の彼女だ。

咲良は本当にかわいい。

顔が。

性格は、…友達として過ごす分にはいい子だけど、男が絡むとちょっとめんどくさい。

まあそれを知ってるのは、咲良と絡んだことのある女か、彼女持ちの男くらい。

ミニゲーム中の記録をつけながら、心の中で小さくため息をついた。

好きだから、ずっと一緒にいたくて、高校も大学も追いかけて来た。

大学で久原と咲良が付き合うことになって、そろそろ離れるべきかって思ってパナに来たらいるし。

あの頃は酷く運命を恨んだ。




川村｢A〜、ちょっと来て｣

｢あ、はーい。咲良、記録も頼んでいい？ちょっと監督に呼ばれた｣

山崎｢あ、うん。わかった｣

｢ごめんね｣




私の大好きな川村監督に呼ばれたら行くしかないよね。

監督はいっつも褒めてくれる。

咲良は本当にかわいいから、まあ自然と男どもが集まるわけで。

｢咲良は今日もかわいいなぁ｣ってヒコさんや伊賀ちゃんが鼻の下を伸ばす。

後輩たちもデレデレ。

それに関しては｢やっぱ咲良モテるなぁ｣って思ってるくらいだったけど、監督は｢何拗ねとんねん、Aも十分かわいいで？｣って頭を撫でてくれる。

｢別に拗ねてはないんですけどね｣って言えば｢あっ、セクハラやったな、すまんすまん｣って。

そういうことじゃない。うふ、だけど好き。




｢なんでしょう｣

川村｢あの時期がやってきたで｣

｢…あの時期？｣

川村｢W杯や｣




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