総合マネージャーは男前[２]

唐揚げ ページ15

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男子のW杯も終盤。

残すところ、ブラジル戦とカナダ戦だけとなった。

ロシア戦に行ったっきり、仕事も忙しくなってなかなか連絡ができなかったからか、

たまに電話に出るとものすごく喜ばれる。

特に石川くんと有志。

太志や柳田さんと電話してたはずなのに、いつの間にか耳元で｢Aーー！！｣って叫んでる。

…ほんと、鼓膜破れるわ。




黒後｢あ、今日ブラジル戦？｣

真佑｢そーですよ｣

宮下｢Aー、テレビつけていいー？｣

｢いーよー｣




久しぶりに余裕ができて、約束してた唐揚げ作り。

練習終わりの遥から｢いつ作ってくれるの！！｣ってお叱りを受けた。

…申し訳ない。

しかもこのためにわざわざ東京の私が住むところに来るという、行動力。

恐るべし。

それに着いてきた愛ちゃんと真佑ちゃんもヤバい。




宮下｢あ、ちょうど始まるじゃん｣

｢え！み、見たい！｣

宮下｢うん、唐揚げ作り終わったらね｣

｢ねーえー！｣

宮下｢はーやーくー｣

｢…鬼｣




ブラジル戦、見たいのになー。

昨日、忙しくて返信できなかった石川くんからのLINEには、｢日本のフルメンバーで出してもらえるように交渉した｣とかかれてた。

温存のため、アメリカ戦では悔しい思いをした彼らしい。

そりゃあ、今の日本が世界とどれだけ差があるのか知りたいだろう。

…スタメンどーなってんのかな。

知りたい、見たい。

うーんうーんと唸りながら唐揚げを作っていると、遥が、｢スタメンはねー！福澤さんとー！｣って、それはそれはデカい声で叫んでくれた。

ちなみに、福澤さん、有志、石川くん、太志、山内さん、関田さん、智大だ。

…山内さん、よかったじゃん。




黒後｢お、一点入った！｣

宮下｢今のすごかったね｣

真佑｢関田さんのトスやっぱりすごいですよね。…打ってみたい｣

宮下｢トスなら私があげる！Aよりは上手いから｣

｢なんだとコラ。こっちは7年間関田さんしか見てないんだぞ？｣

真佑｢…告白ですか？｣

宮下｢あなたのことしか見えないわーって？うける｣

｢真顔でうける言うな｣

黒後｢もう唐揚げできたんですか？｣

｢…ほんとは目を離しちゃいけないんだけど、いま揚げてる最中｣

黒後｢だめでしょ！｣

宮下｢そーだそーだ。はよ戻れ｣




くっそー！遥め！

私がちまちま唐揚げを揚げてる最中も、すご！だの、今のは取れないよ！だの、

…楽しそうだこと。

しばらく無心になって黙々と揚げる。

そしてちょうど、第2セットが始まろうとしてたときに作り終わった。




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