総合マネージャーは男前[２]

電話 ページ2

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イタリア戦。3-0で日本の勝利。

…すごい。本当にすごい。

テレビに映った嬉しそうな代表のみんな。

思わず涙ぐむ。

…おっといけない。試合に夢中で、情報分析が全然進んでいなかった。

いつものように、カタカタとパソコンと向き合う。

総合マネージャーの仕事は、まだまだ完全には終わってないから。

しばらくして、電話が鳴った。




｢もしもし？｣

小野寺｢A！試合見てた？｣

｢見てた見てた。凄かったよ、おめでとう！｣




電話をかけてきたのは太志だった。

まだ少しテンションが高い。

終わって控え室に戻ってからすぐかけてくれたんだろう。

…いつもの、かわいい太志だな。




石川｢太志、かわって｣

小野寺｢ええ…｣

石川｢頼む！｣

小野寺｢…はい｣

石川｢Aさん！俺のスパイクどうでした？｣

｢お疲れさま石川くん。いつもの倍以上気合いが入ってたね｣

石川｢まーね｣




へへん、という効果音が似合うような声色。

奥でみんながふざけ合っている声が聞こえる。

…元気だな。




｢石川くん、途中のフェイント凄かったね｣

石川｢あれも、イタリアで学んだことです。西田もよく合わせてくれました｣

西田｢…！祐希さんに褒められた！A！俺すごかった？？｣

｢有志もすごかった！かっこよかったよ！｣

西田｢え、照れるー！｣




明るく、パワーのある、天真爛漫な19歳。

まだまだ先は長い。

彼のこれからがすごく楽しみだ。

そのとき、｢もしもし？｣と別の人の声が聞こえてきた。

また誰かに代わったんだろう。




｢はい？｣

関田｢…関田です｣

｢え！あ、関田さん！お疲れさまです｣

関田｢俺のトスどうだった？｣

｢…一糸乱れぬというか、みなさんともほぼ合ってるように感じました｣

関田｢俺も思った。今日はスパイカーの手がよく見えたよ｣

｢いい傾向ですね｣




関田さんの声は、落ち着く。

ずっと聞いていたくなる声だ。

しばらく話していると、｢いいかげん、返してください｣と言う太志の声が聞こえた。

あ、これ太志のスマホか。




小野寺｢…俺のスマホなのに｣

｢ごめんごめん。太志も今日、止めてたね｣

小野寺｢ミドルだからね｣

｢うん、すごかったよ。読みもいいし。後は反応速度と止めるかワンチかの判断だね｣

小野寺｢…おっけー、次、頑張ってみる｣

｢ああ。頑張れよ。みんなにも伝えてて｣

小野寺｢…A｣

｢ん？｣

小野寺｢好きだよ｣

｢はっ、？｣




…電話、切れた。




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