＊colorless 8 ページ9
僕は光る星の下静かに足を踏み出した
そして地獄のような家に帰ってきた
いつも通りの家の中
ゴミは散乱し
缶ビールや瓶ビールがリビングから廊下にかけてバラバラとしている
片付けようとしたら殴られたので放置している
常にリビングにいるその人はソファで眠っているらしい
この時ばかりは助かる
そして永遠に眠ってしまえばいいのに、と
人間として最低なことを考えてしまう
母はもう暫く帰っていない
この人は僕にとっては他人に過ぎない
もはや不法侵入と言ってもいい気がする
追い出さないのは一応知り合いであるから
それと、母の頼みであるから
母の頼みでなければ相手にすらしていない
機嫌が悪いときは僕をサンドバッグの代わりのように扱う
今日は部屋で過ごそう
大丈夫、我慢さえすれば殺されないのだから
唯一の癒しである僕のペット
黒柴のコロンは僕の部屋で走り回っている
此処は家の中で一番安全だから
『ただいま、コロン』
コロンは僕に近づいてきて頬をぺろぺろと舐め上げる
その動作は擽ったくてコロンを抱きしめた
『大丈夫、まだ大丈夫だよ』
『1人でも頑張れるよ』
『コロン、だからそんな顔しないで』
僕を心配そうに見つめるコロンを抱き締めて眠った
明日に希望を抱きながら
1日に1つずつ増える無くならない傷
無くなるのならばどれほど嬉しいだろうか
古傷が痛くて学校をサボった
今は寒い冬
もうすぐ暖かい春が来てしまう
消えることのない過去の時間
悪夢の時間が始まったあの日に
その日を境に学校へも行かなくなった
テストだけはしている
常に一番にいるから頭のいい彼ならどういうことかわかるだろう
この生活が無くなってしまえばいいのに
早く自由になりたい
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作者名：3K猫 | 作成日時：2018年1月26日 7時
