上京して来たら霊感を授かった件について【名探偵コナン】

file 32 ページ34

手紙を読み終えた時には、涙がとめどなくあふれていた。



何も…知らなかった…おじいちゃんのことも、お父さんのことも、お母さんのことも…




一番守られていたのは…まぎれもない私だったんだ…



涙を拭い、彼を見て頭を下げて、USBを渡した。




『私にできることがあれば、協力させてください。』



「お前は十分に協力してくれていると俺は思う。ありがとな…A」



そう言って彼は、背を向けた。降谷さんに名前を言われた瞬間…弾け飛ぶように私の脳裏に記憶が駆け巡った。



おじいちゃんが亡くなる前…日本を訪れていたとき、一度遊んだ男の子。




『れー…くん…？』


彼は振り向き、何か言ったか？と言う。私は慌てて首を横に振った。





「ゼロと会えたんだな…」



降谷さんが出て行った後、緑川さんが立ちかわるように入ってきた。



『緑川さん…いや、唯くん…だよね…？小さい時…遊んだ…』



そう言うと彼は少し切なそうな…だけど、どこかホッとしたような顔をしていた。



「すべて…思い出したんだな。」



その言葉に私は頷いた。彼は、そうか…と言って言葉を続けた。



「お前のじいちゃんに頼まれたんだ。孫娘をよろしく頼むって…。守るためだとはいえ、お前に記憶喪失だって…嘘をついた。本当にすまなかった。」



その謝罪に私は慌てて首を振る。



『私…ずっと知らなかった。唯くんだけじゃない…みんなに守られてたんだって…気づくことができた…！ありがとう…！



また、よろしくお願いします』



そう言うと彼は嬉しそうに微笑んで、頷いた。

file 33→←file 31

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す