上京して来たら霊感を授かった件について【名探偵コナン】

file 27 ページ29

私はイギリスに住んでいた。私の父と母は、忙しい人だった。誕生日の日も会いに来てはくれなかった…だけど、私にはおじいちゃんがいた。おじいちゃんが…私を育ててくれた。




「A…誕生日おめでとう。」



『ありがとう！おじいちゃん！』


とお礼を言うと、おじいちゃんは微笑み私を撫でてくれた。



「Hello！Mr.Nire.Would you be able to lend your expertise？(こんにちは。仁礼さん。貴方の知恵を貸していただけませんか？)」


ロンドン警視庁のエンブレムをつけた警察官が、おじいちゃんを訪ねてきた。その時の私は幼かったが、おじいちゃんが頷き、私の頭を撫でて家を出て行ったため、これがおじいちゃんのお仕事なのだろうと思った。



ある程度私が成長すると、おじいちゃんは独り言を言うように話してくれた。



自分は医者だが探偵でもあること。ロンドン警視庁に力を貸していること。独自にある組織のことを探っていること。両親もそれに協力していること。





幼いながらも、壮大なことにおじいちゃんたちは関わっている…と、そして同時に我儘を言ってはいけないと思った。




ある日今まで来ていた父と母との連絡が途絶えた。おじいちゃんは、なにを思ってか私を連れて日本へと渡った。どうやら交渉か何かがあるらしい。




日本の環境になかなか馴染めず、日本人離れしたダークブラウンの目は、仲間外れの対象となった。







耐えきれず、川辺に出て泣いていると、灰色の目をした男の子がいた。




彼は、一緒に遊ぼう！と微笑むと優しく私の腕を引いてくれた。




彼の友達を含め、3人で遊んだ。それはたった１日だけだったが、私にとっては宝物のような日になった。





イギリスに帰った夜。悲劇は起こった。




何やらやな予感がして、階段伝いに下へ降りると、力なく床に横たわる大好きな祖父と、その側に立つ若い黒服の女性。




彼女と視線が混じり合う。彼女の服には血が付いていた。

file 28→←file 26

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す