いつか幸せになれるまで (ページ2)

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仮面夫婦の始まり 2 ページ2

Aside

縁談を受けると決めてから半月後に両家での会食が決まった。父には礼儀正しくすること、母にはマナーや作法をきちんとすることを行きの車で3回は言われた。

着いたのは100階建て以上もありそうな高層ビル。
高級そうな雰囲気が漂っていて、エントランスの照明はシンデレラ城にあるようなシャンデリアだった。

エレベーターを上って70階にあるフレンチのお店にはもう相手の方は着いていたようで、軽く身だしなみを整えてから広い個室を父がノックした。

「どうぞ。お入りください。」

父「失礼します。お待たせしてしまい申し訳ありません。こちら妻と娘のAです。」

父が先に中に入り軽く挨拶をしたあと、私は中に入った。
私たちの座るであろう席の反対側には優しそうな顔をした父ぐらいの年齢の男性、その奥様と思われる綺麗な女性、そして背が高く、とても整った顔をした男性が立ってこちらを見ていた。

会長「こんにちは、Aさん。今回は縁談を引き受けてくれてありがとう。僕と君のお父さんは昔から仲が良くてね、特別にお願いしたんだよ。」

「そうだったのですね。何度も頼まれたものですから、どんな方なのだろうと思っていたのですけれど。」

会長「君が全ての縁談を断っていると聞いてね、うちの息子はどうだろうと思っていたんだよ。」

「…………縁談をするのが少し嫌になってしまって。」

会長「それなのに引き受けてくれて、本当にありがとうね。息子も悪いやつじゃないから、よろしくね。」

父「まあ、とりあえず皆さん座りましょう。」

ここからが地獄だとは知らずに、"私"は足を踏み入れた。

……正確には、"私たち"なのだけれど。