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皆、体育の授業を本格的に始める前に準備運動を始めている
遠くでそんな掛け声を聞きながら、さやさやと風が木を震わせて葉が不規則に揺れる
葉と葉の隙間から日が差していて、彼の髪を照らしていた
思わず綺麗で私は見とれてしまった
「何見てんの?」
『あ、いや……えぇっと』
「今俺に見とれてたでしょ?」
『……』
感の鋭い彼の事だ
私の動向なんて手に取るように分かるのだろうと、思わず顔を赤くしてしまった
「え。マジなの?」
ここで否定しても、説得力なんか無いよね
『うん。ちょっと綺麗だなぁって思っちゃった』
あー、やだやだ恥ずかしい
二人っきりになると意識が全部彼に持っていかれる
私は彼から視線を逸らした
「ふぅん」
後方から返ってきた返事はこれだけだった
彼の方もどんな顔をしているのか分からないけど、その声は少し嬉しそうだった
沈黙がやってきて、とてももどかしくなる
『あ、あのさっ!』
こんなゆっくりと彼と話せるチャンスは今しかないかも知れないと、ずっと気になった事を聞いてみることにした
「なーにー」
『ずっと聞きたかったんだけど、赤羽くんって私とどうなりたいの?』
「は?」
彼から意表を突かれたような声が聞こえてくる
『いや、だって私にイヌ辞めろって言ったのにこうして前と変わらない事してるし……。私達ってただのクラスメイトに戻るんじゃ無いの?』
「俺がどう思ってるか知りたい?今からAに実演してあげるよ」
『はい?』
赤羽くんはそう言って、私の腕を引っ張って後ろから急に抱きついてきた
「俺はね、無条件にAとこういう事がしたいなぁ」
首元に顔を埋めながらそんな事を言ってきて、ぼっと顔の熱が上がる
「あー、今最高に幸せだわ。誰も見てないしこのまま一時間過ごすのも有りなんじゃない?」
『な、ナシ寄りのナシだから!それにお触り厳禁って言ったよね!!』
「チッ。そう簡単には行かないか」
私はそそくさと彼から距離を取った
心臓がうるさいくらい鳴っていて、急の事で頭もぐちゃぐちゃだ
「はぁ。自分からそう言う雰囲気にしといて、ほんと俺を焦らすの上手いよね〜」
『何言ってるの!赤羽くんだって色々有耶無耶にしてるじゃん!』
……って言うか、さっきの質問の答えに全然なって無いからね!
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潰れたいちご(プロフ) - この作品、「好きだから。」という曲がピッタリだと思います!よければ聞いてみてください! (2022年5月9日 19時) (レス) @page25 id: 2cda77c812 (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - ご協力感謝致します!(*´-`*) (2019年6月20日 23時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
みくり - 私も、授業中とか種転がってないかさがしてみます!!(笑) (2019年6月20日 23時) (レス) id: 2a3b3aad81 (このIDを非表示/違反報告)
オタク少女(プロフ) - ハバネロさん» じゃあまた2人をいじる材料を探しますね!(黒笑) (2019年6月20日 21時) (レス) id: 3dab4c0edd (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - 御二方お便りありがとうございました!喜んで頂いて何よりです!またラジオをいつも盛り上げて下さるのは私では無く、このようにお便りを下さるからですよ(*´ ∨`)シチュエーションを考えるのが凄く楽しかったです!これに懲りずまた何かあればお申し付け下さい! (2019年6月20日 21時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハバネロ | 作成日時:2019年6月7日 12時