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渚に連れられて嫌々俺の席の前に立つ彼女は納得行かないようで顔が凄いことになってる
「俺、その面辞めなって前に言いつけたよね?」
『……』
「あ、じゃあ僕行くね」
『えっ!渚くん!私も行くううう「マテ」
渚の元に戻ろうとする彼女の腕を掴み引き寄せると、栗山さんの不機嫌な顔が近くなった
ちょっと前からそうだけど、この態度の差何なの
ムカつくんだけど
さっきも渚に対して若干頬赤らめてたし、その顔は飼い主だけの特権でしょ?
『な、何。無言でガン見されるとめちゃくちゃ怖』
「ねぇ、悪い子には躾が必要だね?」
『……げ』
最近の彼女からはご主人様に対する忠誠心が一切感じられない
普通さ、犬ってのは大好きな飼い主の言うことは何でも聞いて、大好きな飼い主の元に一番に駆け寄って行くよね
それが今はどうだ
吠えグセは中々治んないし、言いつけは守んないし、おいでって言っても全然駆け寄って来ない
まだまだ躾が足りていない証拠だ
そう思い、先程彼女に買ってきて貰ったイチゴ煮オレを、ん、と渡すと、受け取った彼女は意味が分からなさそうにしていた
「俺にそれ飲ませて」
『何故』
「良いから早く」
口を開けてそう待ち構えると、渋々ストローが口内に入ってきて、鼻にイチゴの甘酸っぱい匂いが抜けていく
ごくん、と一口それを飲み干して口元を拭い、その後で彼女をちらりと見たが、彼女は平然とした顔のままでそれがどうも気に食わなかった
【俺、飼い犬に手を噛まれてる状況なんだけど、どうしたら素直に言うこと聞いてくれるかな?】
【う〜ん。ご褒美をあげてみるとか?】
だから彼女からパックを奪い取って、俺が口に付けたものと同じストローで飲ませることにした
「はい、これご褒美ね」
彼女に同じ事を繰り返すと何が起きてるのかを理解して、大きく目を見開き、噎せ返った
『ぷはぁ!……ケホっケホケホケホ』
「ハハハッ」
(耳真っ赤になってるし)
今どんな表情をしているのか、と気になって彼女の顔を覗く
「ねぇ、何で顔隠してんの?」
『ばっか!!今見るな!絶対こっち見るなよ!つーか急に何してくれてるんだクソ野郎おおおおお』
「フッ。吠えるなって言ってんのにこりゃまだまだ躾が足りないね」
でも赤面が見れた事だし、今日の所はこれくらいにしてあげようかな
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ハバネロ(プロフ) - 黒髪さん» コメントありがとうございます!(*´ ∨`)大好きって言って貰えて嬉しいです!恋愛要素今のところ少なめですが、ご褒美編で展開をがらりと変えるつもりでいるのでこれからも楽しんで下さると幸いです!更新が捗るようなコメント本当にありがとうございます^^ (2019年4月30日 16時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
黒髪(プロフ) - このお話大好きです!更新頑張ってください! (2019年4月30日 14時) (レス) id: 058440bffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハバネロ | 作成日時:2019年4月14日 23時