80 ページ41
・
浅野くんのその先の話は聞かなかった
いや、正確には聞くのが怖くて私は会議室を飛び出していた
今は何も考えたくない
階段を急いで駆け下りて、靴を履き替えて家まで突っ走る
あのまま浅野くんの話を聞いていると、何かに気付いてしまいそうで……
凄くその事に怯えてしまっている
私は赤羽くんに抱く感情からしっぽを巻いて逃げた
＊
ピピピピ……ダンッ
7時にセットした目覚ましを止める
重たい身体を起こして、冷たい水をバシャバシャと顔中に叩いて髪の毛を梳かす
リビングに行くと既に朝食が用意されていて、スーツ姿のお母さんが忙しそうにしている
「おはようA。お弁当そこに置いとくわね。蓋だけしなさいよ」
『分かった。ありがとう』
「じゃあ、お母さんもう出るから戸締り頼んだわ」
『うん』
まだホカホカのご飯が乗っているから、お弁当箱は蓋が閉じられていなかった
覗いてみると、卵焼きが入っている
【業くん。はい、あーんっ】
フォークに卵焼きを刺して、口元に運ぶ伊久留ちゃんとそれを食べる赤羽くんが頭に流れてきた
何でこんなに鮮明に焼き付いているんだろう
何でこんな嫌な気持ちになるんだろう
……やめだ、やめ！
何も赤羽くんに取ってつけて考える必要無いんだから
私も学校行こう
＊
地面を見ながらドボドボ歩いていると、ドンッと誰かにぶつかった
『あ、ごめんなさい』
「い〜え、大丈夫よ。業に何か御用？」
『え』
そう言われて顔を上げると、表札に赤羽と書かれた家があった
私は無意識のうちに彼の自宅に来ていた
毎日通っていたから多分身体が覚えていたんだろう
そしてこの綺麗な人は恐らく赤羽くんのお母さんだ
「業ったらこんな可愛い子に迎えに来させて。ごめんね、ちゃんと叱っとくから」
『いやいやいや！もう通常運転ですので！って言うより今日は勝手に来ちゃっただけですけど！』
「名前何て言うの？」
『栗山Aと申します！』
「そう。Aちゃんって言うの。うちの息子気難しい所あるから大変よね〜」
『それは嫌という程知ってます！』
「アハハッ素直ね。あの子あんな性格だから人とぶつかる事が多いのよね。Aちゃんは何もされてない？」
『正直、意地悪される事はあります。でも赤羽くんは根っから嫌な人じゃ無いです。それはずっと一緒に居たから分かります』
「そう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 98人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハバネロ(プロフ) - 咲来(名前)さん» コメントありがとうございます！(＊´ ∨｀)とにかく明るくて、馬鹿っぽい女の子を書きたかったのでそのように言って貰えて良かったです！現在パート3まで出ているので是非そちらも読んでみて下さいね^^ (2019年6月18日 22時) (
レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
咲来(名前)(プロフ) - 主人公がとってもおもしろいくて、私大好きです、もちろんカルマ君も大好きです、これからも応援してます！ (2019年6月18日 13時) (レス) id: aedff0aee4 (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - あんな、ケンカを売るような言い方でしたのに、許して頂いてありがとうございます。 これからも、この小説を楽しみにさせていただきます (2019年5月27日 8時) (レス) id: 0753bc1767 (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - 鶴さん» いえいえ大丈夫です(*´-`*)この件に関して鶴さんが責任を追う必要はございませんのでご安心下さい。今後このような事態を起こさない為にもしっかり対応の方をさせて頂きますので、いつも通り作品を楽しんで下されは幸いです(＊´ ∨｀) (2019年5月26日 18時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - 作者様私のコメントも不快でしたり、誤解を招く可能性がありました不快にさせてしまいましたら大変申し訳ありません (2019年5月26日 13時) (レス) id: 0753bc1767 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハバネロ | 作成日時：2019年5月17日 1時
