俯いたまま大人になった ページ5
.
俯き気味に来た道をもどっていくと、
赤い鳥居が見えた。
なんとなく立ち寄ってみる。
君に会ったあとだというのに、
なんだか心はモヤモヤしていて、
俯いたまま歩くような大人になってしまった自分に
腹が立った。
邪念を払うように、お賽銭を入れて手を叩く。
目を開けると、もう日が暮れかけていたことに気づいた。
帰り道を辿っていくと、いつもバスを待っていた
バス停が坂の上に見えた。
夕日に照らされ、私はふいに足を進めた。
突然、
風が吹いたと思えば、隣に影が見えた気がした。
するとその影は私を追い越し、こう呼ぶのだ。
「A、はやくはやく!」
嗚呼
坂道をかけていく君を前に、私も走る。
それでも追いつけず、君はどんどん登っていく。
あと少し、君に届くと思い、手をうんと伸ばす。
そして、二人手が重なった時、また風が吹いた。
ふわり、次に目を開ける時には、
夕日に照らされたバス停があるだけであった。
息を切らしながらその姿を探すが、どこにもない。
ふとポケットに入っていた写真を取り出し、
夕日に掲げてみる。
あの日と同じ、あの笑顔が現実の今と重なった気がした。
君との思い出を噛み締め、視界がぼやけた。
ただ、それだけの夏の話。
2人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
KiRa - ヨルシカさんほんとに好きなのでこういうの見るの楽しいです!!! エルマとエイミーの話と言って。の方は自分でも考察してたんですけどただ君に晴れはあまりした事がなかったので面白かったです^^* (2021年8月12日 16時) (レス) id: 49dbf58469 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:少女 | 作成日時:2019年11月22日 16時