悪い夢 ページ3
「Aごめんね、若利だけうちに残ることになって。
Aはお父さんのもとで幸せにくらしてね」
笑わせないで。
ごめんって思ってないくせに。
私は要らないんでしょ?
「じゃ、じゃあな、若利」
お父さんが私の手を繋いで兄に言う。
嗚呼、お父さんも本当は兄と居たかったのだろうか。
私は兄にも母にも、なにも別れ話なんて言わなかった。
「A」
いつもの威厳のある声で、車に向かった私を兄が呼んだ。
振り返りたくなかった。けど、どうしようもなくその声に反応してしまう。
私は振り返った。
「________」
ピピピ、ピピピ、ピピピ
目覚まし時計を手で探りあてて、起き上がる。
さっきのは夢だったのか。
胸糞の悪い夢だ。
あの日、アイツは何を、どんな顔で言ったっけ?
それを、私は何時までも思い出せないでいた。
あー、眩しい。
そんなことを思いながら、学校へ向かう。
「Aチャンおはよ!」
「A、おはよう」
そこで出会ったのは、いつも通りの二人。
「おはよう、一」
「えっ!なんで岩ちゃんにだけなの!?」
この煩い男・・・もとい、及川徹。
めんどくさいやつである。
「あぁ、ごめん。いたんだな、知らなかった」
そう私が返すと、「ひどいっ」と言ってもっと煩くなった。
そこで、もう一人の男、岩泉一がいう。
「お前がAをちゃん付けなんかで呼ぶからだろ」
「よく分かっていらっしゃる」
私がいうと、「当たり前だろ」と笑って一息おいてから
「幼なじみなんだからな」と言った。
そう、私たちは幼なじみだ。
と言っても、出会ったのは父と母が離婚して、
私が父方の母に預けられた時からだ。
その時は確か、小学4年生だった。
185人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ふじもん(プロフ) - 初めて見ましたがとても素敵な作品です!更新待ってます! (2018年9月3日 23時) (レス) id: 9aa2f2467a (このIDを非表示/違反報告)
京夜(プロフ) - 二口(妹)さん» ありがとうございます!頑張ります! (2017年8月9日 22時) (レス) id: 4b153081bb (このIDを非表示/違反報告)
二口(妹) - 面白いです(*^▽^*)更新がんばってくださいっ。 (2017年8月9日 14時) (レス) id: bdcb30f6f4 (このIDを非表示/違反報告)
京夜(プロフ) - 夢月さん» いえいえ (2017年1月17日 23時) (レス) id: 4b153081bb (このIDを非表示/違反報告)
夢月(プロフ) - おーなっとくです。ありがとうございます (2017年1月17日 23時) (レス) id: 4c66e0d8a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:京夜 | 作成日時:2017年1月3日 18時