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Prologue ページ1
真っ白な部屋、真っ白な
＿＿＿真っ白な、お前。
未だ慣れないこの景色に、俺はむず痒い気持ちになる。
9本の
「A」
そう呼ぶと、窓の景色から俺へと目線を変えたお前。
暫く見つめられると、途端にふわり、とお前は花が咲いた様な笑みを浮かべた。
「昨日ぶりだね、中原くん」
「嗚呼。調子は如何だ？」
「すっごい元気。心配してくれてありがとう」
「何時もの事だろ」
何時もの足取りで窓際に行き、花瓶の花を取り替える。
「わぁ。可愛いね、桃色の鬱金香かぁ……」
「手前の好きな色、桃色だろ？」
「正解。覚えててくれたんだ……ありがとう」
「忘れねェよ」
桃色の鬱金香を花瓶に生け、Aがいる寝台の近くの椅子に腰掛けた。
目のやり場に困り、仕方なくAを見た。
ぱちり
互いの視線が絡み合う。
暫くの沈黙と共に、先に笑い出したのはAだった。
「あはは。見過ぎだよ、中原くん。照れちゃう」
「手前だって、俺のことずっと見てただろ？」
「それは中原くんの視線を感じたからだよ」
お互い笑い合い、和やかな雰囲気が俺達を包み込んだ。
何時もの様に此処へ行き、
何時もの様にお前と他愛もない話をする。
当たり前だと思っていたコトも、
“終わり”と云うものは、必ず来るのだ。
9本の鬱金香
＿＿＿＿＿＿＿『何時も一緒にいよう』
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作者名：れむ | 作成日時：2022年7月2日 19時
