完璧すぎる兄と比べないでください

１９話 ページ20

怜治「本当に久しぶり……家に帰ってもいないし、電話も繋がらないから心配したよ」

貴「ごめん……」

怜治「…………俺、さ……なんかA怒らせること、したのかな……？」

貴「えっ……？」

怜治「昔からずっと俺の傍にいたのに、中学入ったくらいからちょっとずつ距離置くようになってさ……初めは中学生だからかな、とか思ってたんだけど……どんどん会話も減ったよね……俺がAの兄だって思われるの恥ずかしかった？家族とも思われたくなかった……？正直に言ってくれていいよ、直せるとこなら直すから……」

貴「………………」

こんなにお兄ちゃんを悩ませていたのか、私は。
悩んでたのはなにも私だけじゃなかった。

……そんなの、知らなかった。

お兄ちゃんは完璧だから、みんなから愛されてるから、悩みなんてないんだって思ってた。

貴「違うの……お兄ちゃん」

怜治「え？」

貴「私……お兄ちゃんのこと大好きよ……本当に。でもね、ダメなの……大好きだけどお兄ちゃんとは一緒にいれないの……ごめんなさい」

怜治「理由って……聞いてもいいのかな？」

貴「今は……聞かないで。いつか絶対に言うから……」

私が私を肯定できるようになったら……いつか。

怜治「うん、わかった。……とりあえず嫌われてなかったなら、いいよ。ごめんね、時間とらせて、また練習試合しようね」

貴「うん」

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