玖 ページ10
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「A…」
怪我は深くても命に別状はない。すぐ目を覚ますということなんで、俺はAの傍にいる。
すう、すう、と規則的な寝息が聞こえて、生きていると安心する。
「…あれ、ここは…」
「!A、大丈夫か」
目を覚ましたばかりのせいか、少し掠れたAの声が聞こえた。
俺の問いかけに体を起こし、笑いながら大丈夫と答えた。
「すまない…、俺たちがはやく着いていれば…」
「いえ、そんな!私が弱いのが原因なので決して水柱様たちのせいでは…。…怪我人はいなかったんですよね」
辺りを見渡して俺に聞く。その問いに頷くと、よかったと安堵した。
怪我人が出なかったのは、Aが守ったらから。弱くなんかない。
人を守るのは鬼殺隊にとっては大事だ。それでも…
「…もっと自分を大切にしてくれ」
そう伝えると、驚いた顔をした。今のAには、自分を大切にすることが出来ていない。
人のことばかり。身体的に傷ついても、精神的に傷ついても。
「…Aが、いなくなると思った…」
錆兎のように強い心を持ち、蔦子姉さんのように優しい。それでも、いなくなった。
そんな二人に似ているAまでいなくなってしまうかと思った。
「…水柱様、私はいなくなりません。ただの隠に、そんな心配してくれてありがとうございます」
俺の手を握り、優しく笑うA。
腕に巻かれた包帯に、顔についた傷。もうそんな姿は見たくない。
俺はお前を守りたいと思っているんだ。
「俺にとって、お前はただの隠じゃない」
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義勇と杏寿郎推し - むっ!これは完結か?よもや、よもやだ!初めましてだな!煉獄杏寿郎だ!これからも心を燃やして頑張れくれ!じゃあな! (2021年8月4日 7時) (レス) id: 2a3c5f3e4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わたあめ | 作成日時:2021年6月27日 20時