聲の形

同じ穴の狢。 ページ7

『…篠崎か、お前も見たのか？』



教師は相も変わらず無表情で、私に問いかける。
そんな貴方に、疑問をひとつ。



『…先生、どうして"見てもいない"のに

石田が犯人だって、分かったんですか？』




教師は、目を見開いた。
そんなことを言われるとは思わなかったのだろう、驚いているようだ。

『勿論、私は見ました。確かに元はと言えば石田が積極的に西宮さんをいじめていました。

けど先生、おかしいです。
私が見た限りでは、その場に先生はいなかったはずなんです。』



純粋な疑問を大人にぶつけるように、子供らしく。問う。

どうして？なんで？

今の私は大人に物事を問う、幼子と同類だ。


『あの、先生。どうして"知っていた"のに。
"助けてくれなかった"んですか？』



クラスメイト達が、一斉に教師へと視線を向ける。

『あ…、ごめんなさい。先に石田のこと、ですよね。
石田の言った通り、みんな…とは言えないけれど。
少なくとも植野さん、島田くん。あとは……そこのふとっちょな子と……。川井さんもいじめに関わってます。』


『篠崎さんまで……っ、ひどい…！』

石田に言われた時のように、再び泣き出す川井さん。

ほんとうに、卑怯な子。
流石に少しイラついてきたので、そろそろ本番といこうかと。口を開いた。

『__泣けば良いとか、思ってんじゃないよ。

ねぇ川井さん、しってた？
"知っていて"止めないのは。それもいじめと同類なんだよ。

植野さんは、佐原さんにも悪口叩いてたよね。
一番最初に補聴器を取り上げたのだって、あなただった。

島田くんとふとっちょくんは一番近くで、それも加担してたよね。
ほんっと性格悪…、石田。こんな奴らとなんか友達やめちゃいなよ。』


『あぁ…、良い忘れてましたけど…。
私、間違えて学校に無断でボイスレコーダーってものを持ってきちゃって。偶然にも録音出来てたんですよね、一部始終。すべて。』



"聞きます？

今、ここで。"

結果。→←連帯責任って言葉を、知っていますか。

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