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事務所から撮影スタジオまであと半分というところで8回目の信号に当たった
｢望｣
｢んーー？｣
携帯を見ているフリして実はずっと鼓動は少し早かった
｢返事やけどな｣
｢あ、ああ。おん。なに｣
ついに来た
ようやく解放されるかも
｢まだ、分からへんわ
ちゃんと考えてるから、もうちょっと待って｣
あぁ、そうか
流星、お前はこのまま有耶無耶にして告白を無かったことにしたいんやな
だってそうやん。
もう2週間やで？それで出ん答えなんて、はなっからNoってことやん
｢わかった｣
悔しくて悲しくて寂しくて胸が張り裂けそうだ
けど、流星がその気なら俺は
もう二度とこの話はしない
気がついたら、自宅のキッチンで玉ねぎを切っていた
もうどうやって帰ってきたのかさえ分からない
おそらくそのまま流星に現場まで送ってもらい、軽い会話をして下ろしてもらったのだろう
残りの仕事をしっかり終わらせることはできたのだろう
空き時間にはしっかり雑談をこなして何を伺われることもなかっただろう
マネージャーに車で送られて自宅に帰り、一通りのルーティンを終わらせたんだろう
そして空腹を感じ今に至るまで順当に料理を進めていたのだろう
玉ねぎの少しキツイ匂いに意識を取り戻して流星に言われた言葉を思い出す
全然わかんないけど、玉ねぎがシミる
後から後から止まらなくて玉ねぎが濡れていくのをぼやける視界で眺めてツンと鼻の奥に感じる痛みに頬を涙がつたう
それでも泣いているのを認めたくなくて
手で拭ってしまえば涙が流れているのを認めてしまっているようで
とっくに切るのをやめてしまった手を動かせずにいる
告白する前の俺へ
振られたら諦められるなんて嘘だ
花と散る覚悟なんてできていなかった
今、瀬戸際に立たされて初めて気づく
俺は思ったよりも流星が好きだった
大好きだった 愛してたんだ
こんなにも思いは溢れるのに墓場まで持っていけるだろうか
昇華なんて次元でもなかった
こんなにも独りで感じる孤独は久しぶりだ
こんな時こそいて欲しいのに……
孤独が嫌で欲したことが原因で孤独になるなんて皮肉だ
立っているのってこんな辛かったっけ？
シンクの前に蹲るように身を縮こませると目の前にタオルがある
キッチンでよかったわ
溢れる涙を拭うタオルがこんなグッドタイミングであらわれるなんて
タオルよ
お前は手を拭くためにここにかかってるんじゃなかったみたいだな
はぁ、明日も仕事だ
To be continued
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茉莉花(プロフ) - 哀さん» ありがとうございます！リアル感を感じてくださるとは嬉しすぎる (9月12日 3時) (
レス) id: c94a7fe177 (このIDを非表示/違反報告)
哀 - はじめまして。どのお話も素敵です…リアル感もあって、好きな文章です…！受け桃がとにかく可愛い、、、読んでいて幸せでした！ (9月11日 21時) (レス) @page39 id: 4a70051e2e (このIDを非表示/違反報告)
カミツレ(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます！！普段あんまり褒められないので凄く嬉しいです！！また見てやってください。 (8月7日 9時) (レス) id: c94a7fe177 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - 夏×学パロ×青桃って最高です…積極的な青さんたまりません💕更新ありがとうございます！ (8月6日 13時) (レス) id: 127582e3c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カミツレ | 作成日時：2023年6月3日 0時
