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「佐久間くん」
「わっ、わ、桃野さん！どうしたの？」
「……あのね、数学のノートなんだけど」
「み、見せよっか…？」
「ありがとう」
「うん…」
様子のおかしい佐久間くんは、どうやら私と目を合わせてくれないらしい。寂しい。
耳が少し赤くて、顔に俺は今焦ってるって書かれてある。
「佐久間くん」
「？」
「…お話しませんか」
少しだけ、意地悪をしたくなった。
「えっ、と」
「……」
「あの…」
「……ん、ふふ、ダメだ、ゴメン」
「…？？？」
「あは、佐久間くん今日変だったから」
「！……いっ、いじわる…！」
顔を真っ赤にしてそういう佐久間くん。
驚きの可愛さに心臓は止まりかけ脳は溶けだしそうになった。えっ可愛いね 可愛いです
「………もっ、桃野さん、可愛いから…」
「………えっ」
「か、髪、」
「えっ、あ、ぱ、ぱーま…」
「そうなんだ、…っに、似合ってる…！」
「！………うれしい、ありがとう」
まだ5月の教室。夏でもないのになんだか体温が上昇してとても暑い。脈が早い。
照れながらでも、ちゃんと伝えてくれる佐久間くんがとても好き。…落ちたなあ、完全に。
「だから、びっくりして話せなくって」
「そっかあ〜…」
とびっきりの褒め言葉をもらった気がする。私の勘違いかもしれないけれど、もうそういうことにする。
嬉しくて、幸せな気持ちになって、なんていうか、私らしくない言葉で表現すると、ほわほわ。
「………佐久間くん、お話しませんか」
「！…うん、お話、したいな」
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作者名：さいや | 作成日時：2018年7月6日 23時
