桃の花言葉【A3!/佐久間咲也】 (ページ9)

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「おはようえりちゃん」

「Aおは…え～」

「………やっぱり似合ってない？」

「似合いすぎてびっくりした～」

「あは、ありがと～」

すごいかわい～なんて言いながら、ふわふわになった髪をふわふわ触ってくるえりちゃん。嬉しくてえりちゃんの口調がうつってしまった。

「あ、佐久間くんに傘返さないと」

「すっかり仲良しだね～」

「うーん…佐久間くんは私が守らないとという感じ…」

「側近？」

「違う」

佐久間くんの席を見ると、そこには元カレが座ってクラスメイトと話していた。
オイ、やめろやめろ、どけ、神聖なる佐久間様の席に何してんだやめろ

「あ、噂をすれば～」

「あ！おはよう桃野さん！早草さんも！」

「おはよ～佐久間～」

「おはよう」

そう、えりちゃんの苗字は早草。
おっとりしているのに早いのだ。

「佐久間くん、昨日の傘ありがとう」

「！？えっ、あ、ううん、風邪とかひかなかった…？」

「大丈夫だよ、佐久間くんこそ体調は？」

「うん！俺も大丈夫！」

「そっか…？」

なんだか落ち着いていないような佐久間くんと会話をしながら、折りたたみ傘を返した。ぎゅっと傘を掴んだ佐久間くんの指には、いくつか絆創膏が貼られている。

「…指、怪我？」

「あはは…ネコにやられちゃって」

「ネコ飼ってるんだ」

「ううん、庭に迷い込んできた野良猫の子なんだけど…大雨でびっくりしちゃってたのかな」

「庭…」

佐久間くんの家には庭があるらしい。
もしかしてお金持ちなのかもしれない。もしかして箱入り息子(？)だからこんなにピュアなのだろうか。

「全然痛くないよ、ありがとう」

「うん、良かった」

「じ、じゃあ俺荷物置いてくるね！」

昨日より明らかにソワソワしていると思う。
私が佐久間くんになにかしてしまったのかもしれない、嘘、どうしよう、普通に泣きそう

「佐久間くんの様子が変」

「昨日話したばっかなのに分かるの～？」

「あれは佐久間くんと仲良くなくても分かるでしょ」

「ん～、気になるんだね～」

「……別にい」

「佐久間くんは大丈夫だと思うよ～」

「…そっかなぁ」

えりちゃんなりの励ましだと思う。それに、えりちゃんの言うことは間違っていたことがあまりない。私もえりちゃんをすごく信用している。

「でもAのことだから慎重に行った方が絶対に良いよね～」

「…肝に銘じます」