73話_ ページ29
白雪の動きがおかしい。(ゼンの前限定で)
原因はゼンだろうなぁ。
なんて思いながらも船の上。肩にはコノエ。前方にはゼンと2人の側近がいる。
そして着いたのがユリス島。キハルの住んでる島。
「代表としてキハルどのが考試を受け我々の方では導入の話がまとまっています」
「領主と衝突があったばかりだし、国の、とは言っても受け入れ難いとは思うが」
「Aさん」
島の代表、キハルの祖父、ウキユは一瞬こちらを見てゼンに向き直った。
「誠意を…ブレッカ子爵の謝罪と、金一千万ディルを要求します」
「と、申していますが、殿下」
声を上げたキハルをスルーしてミツヒデがゼンに尋ねる。
「子爵の謝罪はとりつけよう」
「…一千万ディルねぇ……どう思う?木々」
「そうですね」
俺の言葉に頷き、問われた木々が静かに答える
「こちらがその倍用意して来ていたら、すぐ交渉に乗ってくれたのでしょうか?」
「さて、そうは思えないが」
そう笑ったゼンに、ウキユは頭を下げた。
「失礼な口を利きました。宜しくお願い致します」
口元が緩むのがわかった。
「探っていると見抜かれてしまったなぁ」
2人になった部屋で、外を眺めながらウキユが言った。
「あれはああいうやつだからね」
「殿下といいあなたといい、子爵とはだいぶ違うようだ」
「俺はどうかな。……今回はコノエにも助けられたよ」
実は屋根の上でうとうとしてた俺を起こしたのがコノエだったりする。
「王子様だ!」
静寂の訪れた部屋に響いた子供の声。
「ふっははっ、我が王子は子供に囲まれてるらしいな」
「Aどの」
「そんなかたっ苦しくしなさんな……大丈夫だよ」
ウキユに背を向け歩き出したAは手を振りつつ部屋を出た。
「君たち!王子への謁見は1人ずつだ」
「家来!」「ほんかくてきだ!」
どうやらミツヒデがうまくやっていたらしい。
子供達もはしゃいでいる。
「お前たち、名を名乗ってから話すんだぞ」
だがいかんせん人数が多い。
「A兄ちゃんだ!」
飛び込んできた(2週間で仲良くなった)1人を受け止めると、3人で子供達の相手だ。
そのままグダグダと飲み会が始まるのは目に見えていたことか。
「あれ、木々、ミツヒデは?」
視線で外を指した木々の視線を辿るとなるほど、遠ざかる2つの背中が見てとれた。
「なるほど」
「いかないの?」
「いかなくても大丈夫だろ?」
出会った頃より逞しくなったのは、ゼンだけじゃないのだから。
「ふふ、そうだね」
100人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レイ(プロフ) - うさ丸さん» 更新遅くなってすみませんっ!コメントありがとうございます!なかなか続きをかけてないんですが、これは完結まで書きます!まだこういうふうに更新遅くなる日が続くと思いますがこれは書き続けたいと思っていますっ頑張りますっ!本当にありがとうございます!! (2016年5月9日 7時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - え、消しちゃうんすか!? (2016年5月2日 22時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - 続き気になるっすね!更新頑張ってくださいっす! (2016年5月1日 21時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 御月刃さん» コメントもありがとうございます!自分なりにこれからも頑張ります!! (2015年9月13日 8時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
御月刃(プロフ) - 続編おめでとうございます!頑張ってください! (2015年9月12日 16時) (レス) id: 7136332561 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:レイ | 作成日時:2015年9月9日 12時