66話_ ページ22
「キハル、無事に着いたかなぁ」
木の隙間から赤みがかった空。
愛馬に跨るAはウィスタル城に向かっていた。
「まさか、こんなに簡単に終わるとは思ってなかったんだけどな」
むしろ今からが長いのか…
Aが行っていたのはキハルの住む島。
問題がありそうだとイザナに頼まれて城を出たのが2週間前。
領主に会いに行ったら、王城に向かったと言われ、城に向かっている途中でキハルに会い、道を教えて自分はノロノロと来ているわけだが、
「誰も領主のことなんか言ってなかったよな?コノエ」
Aの頭上を飛ぶ青と緑の羽を持つ鳥。
答えるように鳴き声をあげると肩まで降りてきた。
2週間前、島に着いた俺は胡桃石の事を聞いて興味を持ち、何故か懐かれたコノエと飛行訓練をしていた。
「お前も物好きな奴だな、コノエ」
まぁ、コノエがいたおかげでキハルに警戒されずに済んだけどね
「にしても、2週間島で全く会わなかったってのも不思議な話か」
ぶつぶつ言いながらも前に進む。
ウィスタル城まで、あと少し
____ ___ __ _
「殿下、なんの話が」
ゼン達とキハル、ブレッカ子爵が集まる中、声を上げた子爵を手で制すゼン。
「…キハルどの、本当に笛一つで鳥を飛ばせることができるのか?」
昨夜話した内容に彼女も頷く。
「…修練を積んだ島の者は」
「遠い場所へは?」
「行けます。漁で船に飛ばすので」
1拍おいてキハルどのが話す。
「あの子達は胡桃石で作った笛や鈴の微かな音を聞き分けます。目的地にあるのと同じ音を聞かせてやれば、その音のするところに降り立ちます」
キハルどのの答えにゼンが満足そうに頷く。
「キハルどの、可能ならそれをクラリネスの連絡手段として検討したい」
これが、昨日考えた末の結果。
何を!とゼンに話しかけようとする子爵を俺が止め、木々がゼンを促す。
「その為に長距離の考試をしたいのだが。今日の夕刻、この城で」
唖然、といった様子のキハルどの。
相変わらずゼンは真っ直ぐに相手の目を見る。
「…鈴を持つ相手を、指名しても良いでしょうか」
「構わんが?」
「なら、白雪さんを」
覚悟を決めたような顔でキハルどのが言った。
考試が行われるのは午後4時
立会いにザラクどのを呼び、行われる。
「ここはまだ敵陣なのよ!…あなたがゼン殿下を信頼してるなら、私も少しでもそう思いたいの!」
「…そういうことなら」
白雪に頼み込んだキハルの目が潤んでいたことは白雪だけが知っている。
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レイ(プロフ) - うさ丸さん» 更新遅くなってすみませんっ!コメントありがとうございます!なかなか続きをかけてないんですが、これは完結まで書きます!まだこういうふうに更新遅くなる日が続くと思いますがこれは書き続けたいと思っていますっ頑張りますっ!本当にありがとうございます!! (2016年5月9日 7時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - え、消しちゃうんすか!? (2016年5月2日 22時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
うさ丸 - 続き気になるっすね!更新頑張ってくださいっす! (2016年5月1日 21時) (レス) id: 93ddfd5243 (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 御月刃さん» コメントもありがとうございます!自分なりにこれからも頑張ります!! (2015年9月13日 8時) (レス) id: af1a1b1ac0 (このIDを非表示/違反報告)
御月刃(プロフ) - 続編おめでとうございます!頑張ってください! (2015年9月12日 16時) (レス) id: 7136332561 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイ | 作成日時:2015年9月9日 12時