無気力な遭遇 ページ30
”じゃあ、何で敵はここに侵入したと思う？”
たった一言。たった一言だけなのに、その声の重圧感は計り知れなかった。
それはまるでゲームを楽しんでいるかのような声色。まさに愉悦だとでも言いたげな声。
夜月はゆっくりと後ろを振り返る。
一歩、二歩、と、その男から距離を少しずつ置きながら。
「…誰だアンタ。」
夜月の目は、しっかりとその男を捉えていた。
流石に、危機感の無い男No.1の位を持つ夜月も___
「引きこもり？ニート？
何かすっげぇ人生に疲れた雰囲気的な、オーラみたいなのが出てる気がする。」
_____そうだ、こいつはそういう奴である。
若干、否大分小馬鹿にしたような表情で、ハンっと笑いながら男に告げる。
確かに、その男はくたびれた服を着ている。
ボロボロで、薄汚れている。
だが、その男からは計り知れない怨恨を感じた。夜月は内心、かなり恐怖で蝕まれている。
それが奴にバレてはいけない。
バレたら最期だ。
多分相手は、躊躇いもなく殺す人間だ。
…何時でも反撃が出来るよう、念の為の保護膜はしている。だが、もし、もしもだ。
保護膜を破壊出来るほどの個性だったら____
「おいおいそんなにビビるなって。えーっと、多分ヒーロー科だよな。一年？」
男はいとも簡単に、夜月の心の内を読み取ってみせた。
確かに恐怖で脳内を支配されている。
冷静な判断が下せなくなっている。
確かに若干、手足の震えがある。
だが。夜月は____
「ヒーロー科だよ。残念ながら、ヒーロー志望じゃあ無いけれど。」
それを抑え込む精神力がある。
図太い男だ。メンタル面では最強かもしれない。
夜月は、静かに深呼吸をする。
…静かに、自宅に帰った時の楽しみを思い浮かべる。
「流石に命取られちゃ困んだよね。まだ漫画の最終巻読んでないからさ。」
いつもの自分のように振る舞う。
声が震えないように、表情に出ないように取り繕う。
声はともかく、無表情を突き通すのは夜月の特権だ。
そしてしばらくの間、二人に沈黙が訪れる。
「……ああ、そろそろ迎えが来るからさ。じゃあな、ヒーロー志望。」
その沈黙を破ったのはその男で、黒い霧と共に姿を消した。
夜月はそれを静かに眺め、しばらく何も無いところを見つめていたが____
「………っはあぁぁぁぁぁ…。」
盛大なため息を吐いた。
余談だがその後、腰が抜けていたらしい。
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黒弧(プロフ) - えっと！絵を書かせていただいて、Twitterで、出しました。黒弧って調べて見てください。 (2022年8月16日 12時) (
レス) id: 4b13e88e37 (このIDを非表示/違反報告)
キラー(プロフ) - saaaaans!!! (2018年7月26日 7時) (レス) id: 88d1b4cedc (このIDを非表示/違反報告)
豆(プロフ) - まじめに兎赤とスガさん尊いさん» ありがとうございます！夏休みに入ったので1日1話更新は出来そうです！頑張ります！ (2018年7月21日 12時) (レス) id: c76cbdbc0f (このIDを非表示/違反報告)
まじめに兎赤とスガさん尊い - すごい面白いです続編楽しみにしてます！！更新頑張ってください！Pulsultra！！ (2018年7月21日 8時) (レス) id: 496f43dffa (このIDを非表示/違反報告)
１０ - 文ストじゃなかったらごめんなさい (2018年7月11日 17時) (レス) id: f7f7d35321 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆 | 作成日時：2018年7月1日 23時
