さよならの前に２【Juri.T】 (ページ22)

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着信ページ22

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

無機質なコール音が頭の奥まで響く。

「出てもらえないかもなぁ。」

まあ、もし出られてもね
何話したらいいか分かんないし、このまま出ない方が諦めがつく筈。

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

5コール目。

「やっぱり無理だよね。」

分かってたのに、心の何処かで落ち込んでいる自分がいた。

これ以上、
傷つきたくなくて、
こんな自分に気づきたくなくて
着信を切ろうとした時。

『もしもし？』

機械音でも、無機質なノイズでもなく
紛れもない聞きたかった声。

「…えっ？」

聡？

思わず出てしまった声は、掠れてきこえ聞こえない。

聡『何よ？笑
俺に電話したんでしょ？俺以外出るわけないじゃん笑』

どうしたー？なんて、
いつもと変わらないテンションで話してくれる。

それでも、

電話ごしでも、

顔が見えなくても分かる。

無理してるんだって。

彼はそういうのが上手いから

それが哀しい。

「…会いたい。」

向こうで息を呑む音がした。

自分でも言ってしまったと思った。

私が聡に無理させてるのに。
ずっと黙ってるはずだったのに。
また傷つかせるだけなのに。

それでも……、

なんて、キャラじゃないか。

ほら、向こうも困ってんじゃん。

今なら冗談で済ませられる。

「なーんて、聡『行くよ。』,…え？」

誤魔化しの言葉は聡に遮られた。

聡『今どこ？』

聡『今すぐ会いに行くから。』

「っ、… 」

何で？
どうしてそんな風に言うの？

ずっと気づかないようにしてきた気持ちが溢れ出るようだった。

そのまま勝手に動きそうになる口を無理やり閉じる。

ﾌｩ

深呼吸1つ。

「高校近くの公園。」

大丈夫。
声はもう掠れてないし震えてもいない。

聡『分かった。』

そのまま通話が切れたことを確認して、スマホを耳から離せば
足から崩れるように座り込んだ。

頭の中は後悔でいっぱいだった。

何してんの？
今、あなたはなんて考えたの？
さっき謙太郎と約束したのは嘘だったの？
それじゃ、まるで…

頭の中で、自分に問いかける。

違う。
ただ驚いただけ。
「会いたい」のは気まぐれで。
大丈夫。
約束したから。