溶け始めた心【ヒロアカ】 (ページ27)

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七十三話ページ27

連休明け
お母さんと話をしたことで、一先ずの心の整理がついた
体の疲れも取れ、これから頑張るぞーと意気込んで家を出たのは良いものの、雨

おまけに

「もしかして、轟さんっすよね？ヒーロー科の！」

「え、あ、はい」

「やっぱり！一緒に写真撮って貰ってもいいすか！？」

「轟焦凍さんだ！やっぱ生は可愛いなぁ…握手してください！！」

「え、あ、はい…」

「ねぇ、お母さん。あのお姉ちゃん、テレビで見たよ！」

「あらほんと。雄英の轟さんじゃない」

「とどろきちゃーーん！！」

「え、あ、はい……」
ばいばい…

女の子に手を振りながら、今日何度目かの溜め息をつく

いい加減遅刻すると走り出そうとすれば、またもや

「雄英の轟さん！！」
「あ、ほんと！」
「生じゃん！！めっちゃ可愛い！」
「あれで二位なんでしょ？やばマジ驚嘆～」

パシャパシャとシャッター音が鳴り響く交差点を、傘を差しながら全力失踪した

ーーーーー

走って教室に滑り込めば、大体の奴は席に着いていた

私も席に着けば、芦戸や葉隠がスマホを持って集まってきた

「轟ーぃ！おーは！」

「おはよう」

「ねぇ、轟、めっちゃ写真撮られてるよ！」

「あ、俺も見た、すんごい話題になってる」

ほら、と見せられたスマホの画面には、SNSに投稿された私の写真

歩いてる姿、欠伸をしている姿、走ってる姿…

「何だこれ…？」

「一日で一気に注目の的ね轟ちゃん。ケロ」

「雄英すげー」

ピタッ

ざわざわとした教室は、チャイムが鳴った瞬間に静まり返った

相澤先生が入ってきたから

「おはよう」

「相澤先生。包帯取れたのね、良かったわ」

蛙吹の言う通り、二日前まで包帯でぐるぐる巻きだった相澤先生は、綺麗に元通りに戻っていた

「轟、爆豪」
私と爆豪は、反省文を持って席を立つ

「次からはトラブルを起こさないよーに」

軽いデコピンを受けて、席に着く

「轟さん、何したんですの？」
「八百万…。ちょっと、な」
「あら。……轟さん、普通に話してくれるようになりましたのね」

思わず八百万の顔を見つめる

「ふふ。最近、何か思い詰めたようでしたから。でも、解決したようで良かったですわ」

口許に手を当てて笑ってる姿に、やっぱり分かりやすかったのか、と思った

「今日の"ヒーロー情報学"。ちょっと特別だぞ」

その言葉を聞いて、誰かの息を飲む音が聞こえた

「「コードネーム」ヒーロー名の考案だ」

「胸膨らむヤツきたああ！！」