溶け始めた心【ヒロアカ】 (ページ23)

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六十九話ページ23

「……眠れない」

見慣れない天井をじっと見つめながら、呟く

頭を絞って反省文を終わらせた頃に光己さんが敷いてくれた敷布団をころころと転がる

十八番の怖い話を聞かせてくれようとした爆豪の提案を丁重に断り、大きな欠伸を一つ

仕方なさそうにベッドに横になった爆豪を覗き混めば、もう寝息を立てて寝ていた

「…ばくごー」

つん、と頬を突いてみても、何時も皺の寄ってる眉をそっと撫でてみても、反応は小さい

さっきは確かに眠かったんだけどな…

どうしようと頭を抱えていれば、ごそりと爆豪が起き上がった気配

「眠れねェんか」
「爆豪…目が冴えた…」
「……横になって目ェ瞑れば自然と眠れんだろ」

俺は寝る、と再び瞼に隠れた赤い瞳を追いかけるように、爆豪を揺する

「爆豪…私を置いていくのか…」
「大袈裟だっつーの」
「爆豪…」
「……」
「ばくご、」
「うるっせェなぁ！！オラ、こっちこいや！寝殺したる」
「お。爆豪、もう少し静かにしろ。光己さんたち起きちまうだろ」
「誰のせいだと思ってんだブッ殺すぞ半分女」

久々に呼ばれたなそれ、と言えば腕を引かれてベッドへと引きずり込まれる

文句を口ずさむ爆豪の腕の中は、ぬくぬくしていて、一気に眠気が襲ってきた

でもそれ以上に、うるさい心臓と熱くなる頬を押さえて、爆豪の顔を見上げる

「……爆豪、何かこれ、恥ずかしいな」
「ッ、…さっさと寝ろや」
「…ん、眠れそうだ。おやすみ、爆豪」

返事はなかったけれど、一段と強くなった抱擁。固い胸元に頭を擦り寄せる

とん、とん、と一定のリズムでお腹辺りを叩かれて、段々と意識が遠くなる

爆豪、子供あやすの上手そうだな……

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「生殺しだわ、くっそ…

明日覚えてろよ…」

「あーーーー、眠れねェ」