溶け始めた心【ヒロアカ】 (ページ20)

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六十七話ページ20

「………は？？」

聞こえた声に暫く呆然と通話画面を見つめる。画面にはお姉ちゃんの文字。大丈夫、間違ってない。お姉ちゃんだ。だとしたら、この声は、お姉ちゃん…？？

「お姉ちゃん…声低くなった…？」

余りのことに頭がゲシュタルト崩壊を起こしてる。目の前の爆豪が変な物を見るような目で見てるだろ

「そんな訳ないでしょ！焦凍のバカ！」

違うもん～～！！と電話口から小さな声が聞こえてくる

「！、お姉ちゃん…？」

『お父さんうるさーい！！』

パタパタと足音がしたかと思うと、次第にクソ親父の声が小さくなって、お姉ちゃんの声が鮮明になった

『焦凍、今の聞こえたでしょ？お父さん、帰ってきてからずっっとあんな調子なの。まだ嫁には出さんーとか、俺は認めない！とか…何かあったの？』

「……知らない」

あのクソ親父ついに頭狂ったか

『折角お蕎麦作ろうと思ったのに、こんなんじゃ疲れも取れないと思って…』

「蕎麦…！！」

そ、そんな。蕎麦が美味しく食べられないなんて、私はどうしたら…

暫くぽつぽつと会話をして、結局外食するかーみたいな流れになったところで、爆豪が私のスマホを奪いとった

「すんません」

「ば、爆豪…？」

『焦凍？え？どちらさま？』

「轟、さんのクラスメイトの、爆豪です」

『爆豪……？アッ、決勝戦の！』

「あ、はい…そっす…」

あの爆豪が敬語を使ってる驚きで固まっている私を置いて、二人の話は進んでく進んでく…

「わかりました。……オラ」

「お、お姉ちゃん…？」

返されたスマホを耳に当てる

『それじゃ、爆豪くんに迷惑かけないようにね！』

陽気な声が聞こえたと思えば、すぐに通話は切れた

「いくぞ」

手を引かれながら、私の家とは正反対の電車に乗り込む

「ば、爆豪…。何処に行くんだ…？」

恐る恐る聞けば、あっけらかん。当たり前だと言わんばかりの声音で返された

「俺ン家」

ほわい…？