溶け始めた心【ヒロアカ】 (ページ16)

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六十三話ページ16

POM POM

可愛らしい音を立てて上がる花火

「それではこれより！表彰式に移ります！」

ミッドナイトの陽気な声を聞きながら、視線を足元へと落とす

隣で爆豪が全身拘束されて唸っているが、それは雄英。何でもありらしい

「締まんねー１位だなぁ」

時間がなくリカバリーガールの治癒を受けずに包帯を巻いただけの荒治療で痛む傷に顔をしかめる

三位の飯田は、家の事情で帰ったらしく、表彰台にいるのは私、爆豪、常闇だ

「メダル授与よ！今年メダルを贈呈するのは勿論この人！」

「私が、メダルを持ってきた！」
「我らがヒーロー、オールマイト！」

かぶった

ーーーーー

常闇へのメダルを渡し終え、次は二位の私の前へと来るオールマイト

「轟少女」

首を差し出して、メダルを掛けてもらう

「女子で入賞するのは、非常に珍しい事例だ。誇っていいぞ

…決勝で左を使わなかったのには、ワケがあるのかな」

ワケ…

「緑谷戦できっかけをもらって、わからなくなってしまいました。
あいつ、凄い奴ですね。貴方が気に掛けるのもわかった気がします。

私も、貴方のようなヒーローになりたかった。ただ…私だけが吹っ切れてそれで終わりじゃ、駄目だと思った

清算しなきゃならないモノが、まだある」

ぎゅっ、と大きな腕で抱き締められる

逞しいその腕に体重を預けて、束の間の安心を得る

「顔が以前と違う。深くは聞くまいよ。今の君ならきっと清算できる！」

「ありがとう、ございます」

爆豪の元へと向かうオールマイトと、民衆の視線

その中私は、一人鋭い目で私を見る親父を睨み返した

私の一日は、まだ終わってない