溶け始めた心【ヒロアカ】 (ページ15)

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六十二話ページ15

お姉ちゃんとの電話中に、爆豪が部屋を間違えて乱入する事件も乗り越え、フィールドに降り立つ

『なりたいものに、なっていいんだよ』

ぱんっ、と両頬を叩いて気分を入れ換える

「なりたいもの…」

私のなりたいものは、一つだけ

だから、その為には手段として左の力を使う

だけど、その為には…
私だけが吹っ切れていても、仕方ない

『さァいよいよラスト！雄英１年の頂点がここで決まる！！

決勝戦！この二人が立ち並ぶ姿は、まさに美女と野獣！
轟対爆豪！』

今、START！！！！

ーーーーーーー

「ブッ殺すぞ！！本気で来るって言ったろーーが！俺が取んのは完膚なきまでの一位なんだよ！」

中々左を使わずにいる私に堪忍袋の緒が切れたのか、爆豪が怒鳴り付ける

「勝つつもりもねぇなら、俺の前に立つな！！何でここに立っとんだクソが！！」

悪いな、爆豪
私は、左は使わない

「負けるな、頑張れ轟さん！！！」

ごめん、緑谷

特大の炎を纏い回転して私へと突撃してくる爆豪を、ゆらり、と見据えた

あぁーーーーー

悪いことしたな

激痛が襲ってくると同時に、私の視界は黒く染まった

ーーーーーー

爆豪side

「は…？」

火を、使わなかった

流弾砲着弾を使った俺の体はボロボロだが、それが気にならない位に、目の前の光景が理解できなかった

手を抜くような奴じゃないって思ってたのに

「っんでだよっ！！！」

砕け散った氷の固まりに寄り掛かるように倒れ、気を失ってる轟の胸ぐらを掴む

「ふざけんなよ！！てめぇ、本気で来るって…言ったろうが…！！こんなの、こんなの！！」

返事なんて返って来ないのはわかってるが、言わずには居られなかった

こんなの、俺が望んだ一位じゃない…！！！

ぐらり、視界が揺れた

『轟さん、場外！
よってーーーーー

今年度雄英体育祭一年優勝はーーーー

A組、爆豪勝己！！！！！』

「こんなの、認めねえ…」