溶け始めた心【ヒロアカ】 (ページ13)

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六十話ページ13

『準決！サクサク行くぜ！』

「轟くん」

短い別れを終え、再びフィールドへと降り立てば、真剣な表情で飯田が口を開いた

「正直君には、全力でいかせてもらう。女性だから手加減を…とは、考えない。君の顔に傷を付けてしまうかもしれないが、許してくれ

俺は君に、容赦なく勝ちにいく！」

「…あぁ。受けて立つよ」

『お互いヒーロー家出身のエリート対決だ！
飯田天哉対轟焦凍！！』

飯田の戦いは、主に蹴り

凍らせてしまえば此方のモンだけど…騎馬戦で見せた例のレシプロ

避けたいけど、無理そうなんだよな…

『START！！！』

だから、まずは様子見で…

囲む！

氷を飛び越え、開始早々レシプロで飛び込んでくる飯田の蹴りを、ギリギリで避ける

けどやっぱ、早い…！！

「決める！！！」

「ぅぐっ」

脳天から蹴りを喰らい、顔面を地面に叩き付けられ脳がぐらり、と揺れる
だけど、その時に細工をするのを忘れずに

その反動のように揺れた視界を噛み締めて耐えれば、私を引きずっていた体は唐突に止まる

「いつの間に！」

「蹴りの時…」

ぱきぱき、と音を立てて飯田の体を凍らせる

「範囲攻撃ばかり見せてたから、こういう小細工は頭から抜けてたよな」

飯田の強みはその早さ
だけど、裏を返せばその大本のエンジンさえ止めてしまえばこっちのもの

私は蹴られたあの一瞬の隙に、右足のエンジンを凍らせていた

「警戒はしてたんだが、レシプロ…避けられねえな流石に…」

未だにくらりと揺れる頭を押さえながら、起き上がる

左、結局使えなかったな

『飯田行動不能！轟、炎を見せず決勝進出だ！』