第32話~ころんside~ ページ34
その音が耳に入り、認めたくもない事実が脳内に浮かび上がる。
1%の希望を抱いて医者の方を見てみるか、その希望は直ぐに打ち砕かれた。
「ご臨終です」
その言葉は今の僕達を絶望に陥れる程の意味を持っていた。
みなが死んだ。
みなが、一週間前まで元気に笑っていた彼女が死んだ。もう二度と起き上がることは無い。泣くことも、笑いかけてくれることも無い。勿論、「ころちゃん」と呼びかけてくれることも無い。
こ「…うわぁぁぁぁぁぁあ」
僕の脳はやっと動き出したようで、「みなの死」という事実を受け入れ始めた。と、同時に目からは大量の涙が溢れてくる。
気づけば、みなのことを必死に助けようとしてくれていた医者達は病室から去っていて、病室には見慣れた顔の幼馴染達しか残ってなかった。でも、その顔はみんな涙で濡れている。
死後数分は聴覚だけは残っている。
何故か急にそのことを思い出した僕はみなにそっと声をかけてみた。
こ「みな…なん、で…死んじゃった…の…」
こ「僕…まだ、大切なこと、伝えられ、てないよっ…」
な「ころちゃん、俺達、外でてる」
なーくんが泣いている僕を気遣うようにそっと声をかけた。
なーくん達も辛いくせに…こういう時は一緒に泣いた方がいいでしょ?そう思ったが、僕は病室から去る彼らを止めようとはしなかった。
こ「みな、今から大切なこと言うから聞いててね」
先程と比べればだいぶ落ち着いている。
こ「みなとは小さい頃から一緒だったね、事故にあった時もずっと僕の傍に居てくれた。」
声はまだ少し震えていたが、僕は話し続ける。
こ「長い間一緒にいたから、みなのいい部分と同時に悪い部分も見てきた。自分より他人を優先するところ、滅多に我儘を言おうとしないで1人で傷ついてるところ…」
僕に相談してくれれば…と、少しの怒りと同時に後悔が込み上げてくる。
こ「でもね、僕は…みなのそういう不器用なところも全部ひっくり返して…」
「大好きだよ」
長年言えなかった言葉。
何故か今はすんなりと言えた。
みなの方を見ると、みなの頬には涙が伝っていた。
こ「ちゃんと届いたんだ…」
零れ落ちる涙を拭う。
気づけば午前0時を過ぎていて、6月29日…みなの誕生日になっていた。
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rinuaimi(プロフ) - 初めまして。すごくいいお話でした!涙がかれて頬がかぴかぴになりました!たくさんの小説を読んできましたがここまで泣いたのははじめてです!これからもたくさん読み直してたくさん泣きたいと思います!((? これからもう頑張ってください!応援しています! (2022年4月24日 0時) (レス) id: d7637fcd3d (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - panndaさん» ありがとうございます…!まさか、泣いてくださるなんて…勿体ないお言葉です…更新頑張らせて頂きます! (2019年12月11日 19時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
pannda - あの、、、、あの、、、、只今号泣中でございます(´;ω;`)ウッ…作者さん神ですよ、、、、これからも応援してます!!違う作品も更新がんばです!!! (2019年12月11日 16時) (レス) id: 92d4070df6 (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - 恋花レンカさん» え、そうなんですか!?凄いですね…嬉しいお言葉ありがとうございます! (2019年12月7日 15時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
恋花レンカ - 主人公が倒れた6/19...私の誕生日だ☆なんという奇跡!すごく感動しました。涙が止まりませんでした。これからも応援してます! (2019年12月2日 18時) (レス) id: 8916eccc14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千景 | 作成日時:2019年6月8日 17時