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第1話 ページ3

る「みな?」

『あ、るぅとくん。おはよう』

る「お見舞い来ました」

『ありがと』

そう言うとるぅとくんは少しはにかんだ笑顔になった。

る「……ころちゃんのとこ、行きますか?」

『うん、行かせて』

るぅとくんに体を支えてもらい、立ち上がる。

『おいしょっと…』

る「車椅子、使います?」

『ううん、今日は調子がいいみたいだから大丈夫』

る「そうですか…無理しないでくださいね?」

『うん、いつもありがとうね』

る「いやいやいや!幼馴染なんだからいつでも頼ってください!!」

るぅとくんは優しいなぁ…そんなことを思いながら、ころちゃんの病室へと向かう。

『失礼しまーす』

そう言って窓際のベッドに駆け寄り、椅子に座る。

る「ころちゃん、失礼します」

るぅとくんが入ってきたのを確認して、私はベッドの方を見た。
ベッドには綺麗な顔立ちをしているころちゃんが眠っている。

今すぐにでも起きて「みな!」って言いそうなのにころちゃんは起きない。

もう、5年前からこのまま。

5年前と比べて背も伸びているし、顔立ちもあの頃とは少し違う。

でも、ころちゃんの記憶は5年前から更新されない。

私はころちゃんのほっぺに手を伸ばす。

『ぷにぷにだねw』

そんなことを言ってもころちゃんは起きない。

もう何度も繰り返していることのはずなのに未だに悲しくなるのは何故だろう。

『あのね、ころちゃん。もうあの頃から5年も経ったんだよ。私もみんなも高校生になったんだ。明後日はころちゃんの誕生日で17歳になるんだよ。私は1ヶ月後だけど、すぐに追いついてやるから!』

私の独り言をるぅとくんは優しく見守ってくれている。

『私ね、重い病気なんだよ。もういつ死んでもおかしくないんだ。私が死ぬまでにもう一度だけ話せないかなぁ?私が死ぬのところちゃんが起きるの、どっちの方が早いと思う?……話したいよ…』

涙が頬を濡らす。

そんな私を見て、るぅとくんは背中をさすってくれる。

る「もう帰る?」

『…まだいたい』

る「……そっか」

それから1時間くらい居座った。

病室に帰って、いつもつけている日記をつけた。

ころちゃんの様子が書いてある。


『これくらいでいいかな?』

書き終わった日記をもう一度読み直す。

そして、箱に入れて鍵をかけた。

『ころちゃんと早く話したいなぁ…おやすみ、ころちゃん』

私の独り言は誰にも届くことはなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーー
文字数…(´;Д;`)

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設定タグ:すとぷり , ころん , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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rinuaimi(プロフ) - 初めまして。すごくいいお話でした!涙がかれて頬がかぴかぴになりました!たくさんの小説を読んできましたがここまで泣いたのははじめてです!これからもたくさん読み直してたくさん泣きたいと思います!((?  これからもう頑張ってください!応援しています! (2022年4月24日 0時) (レス) id: d7637fcd3d (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - panndaさん» ありがとうございます…!まさか、泣いてくださるなんて…勿体ないお言葉です…更新頑張らせて頂きます! (2019年12月11日 19時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
pannda - あの、、、、あの、、、、只今号泣中でございます(´;ω;`)ウッ…作者さん神ですよ、、、、これからも応援してます!!違う作品も更新がんばです!!! (2019年12月11日 16時) (レス) id: 92d4070df6 (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - 恋花レンカさん» え、そうなんですか!?凄いですね…嬉しいお言葉ありがとうございます! (2019年12月7日 15時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
恋花レンカ - 主人公が倒れた6/19...私の誕生日だ☆なんという奇跡!すごく感動しました。涙が止まりませんでした。これからも応援してます! (2019年12月2日 18時) (レス) id: 8916eccc14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千景 | 作成日時:2019年6月8日 17時

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