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第11話 ページ13

『ころちゃん、おはよ』

本日2度目の挨拶。
もちろん、反応は返ってこない。

さ「はよ、ころん」

さとちゃんはいつもより真面目な顔でころちゃんを見ている。

『お誕生日おめでと〜、ころちゃん。もう17歳になったんだね。時間の流れって早いなぁ…』

そう言いつつ、これまでの人生を少し振り返ってみる。幸せな時間が多かったなぁ…

さ「ころん、さっさと起きろよ!起きてくれないと…俺が…」

さとちゃんがそう言いかけた時、ころちゃんの手が動いた。
今度は見間違えなんかではなく、確実に動いていた。

さ「今、動いたよな?」

『ころちゃん!!』

そう呼び掛けるとそれに反応したかのようにころちゃんの瞼がゆっくりと開かれた。

こ「…みな?」

不思議そうに私を見つめる目。
普通の男の子よりも少し高い特徴的な声。

そこには私がずっと望んでいた姿があった。

『ころちゃん!!』

思わず抱きついてしまう。
ころちゃんはまだ状況が把握できていないらしく、ボーっとしている。

こ「え、僕なんでここに…?ここは…病院?」

『ころちゃん、あのね…その…』

私はころちゃんに説明しようとしたが声が震えてしまい、うまく説明できない。

さとちゃんはいつの間にかいなくなっていたみたいで病室は私ところちゃん、二人きりだった。

なんとかころちゃんの身に起こっていた出来事を話し終える。

こ「えっと…君は、みな、でいいんだよね?」

『うん!』

笑顔でそう伝えるところちゃんは変わったな…と少し驚いたようだった。

こ「今は何年の何月?」

『今日は20XX年の5月29日。ころちゃんの誕生日で、17歳になった』

こ「あの日から、5年も経ったのか…」

そう言った時、さとちゃんが看護師さん達をつれて戻ってきた。

ころちゃんは検査をする為にどっかに連れていかれてしまった。

静まり返った病室でさとちゃんが口を開いた。

さ「よかったな」

その言葉に大きく頷く。

その後、さとちゃんはなーくん達に連絡するから、と病室から出ていった。

一人、残された病室で考える。

ころちゃんが起きてよかった、と。
もっと沢山の思い出を作りたい。
死ぬまでにころちゃんとやりたいことが山ほどあったのだ。
遊園地に行きたい。水族館に行きたい。ゲームをしたい。
そして…好きだと伝えたい。

もうすぐ死ぬ人から伝えられても迷惑だろう、と諦めたはずなのに。ころちゃんへの想いはそう簡単にはなくせないらしい。

窓から見える空は鮮やかな水色をしていた。

第12話 ~ころんside~→←第10話



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設定タグ:すとぷり , ころん , 歌い手   
作品ジャンル:恋愛
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rinuaimi(プロフ) - 初めまして。すごくいいお話でした!涙がかれて頬がかぴかぴになりました!たくさんの小説を読んできましたがここまで泣いたのははじめてです!これからもたくさん読み直してたくさん泣きたいと思います!((?  これからもう頑張ってください!応援しています! (2022年4月24日 0時) (レス) id: d7637fcd3d (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - panndaさん» ありがとうございます…!まさか、泣いてくださるなんて…勿体ないお言葉です…更新頑張らせて頂きます! (2019年12月11日 19時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
pannda - あの、、、、あの、、、、只今号泣中でございます(´;ω;`)ウッ…作者さん神ですよ、、、、これからも応援してます!!違う作品も更新がんばです!!! (2019年12月11日 16時) (レス) id: 92d4070df6 (このIDを非表示/違反報告)
千景(プロフ) - 恋花レンカさん» え、そうなんですか!?凄いですね…嬉しいお言葉ありがとうございます! (2019年12月7日 15時) (レス) id: 0f5cbdbd1f (このIDを非表示/違反報告)
恋花レンカ - 主人公が倒れた6/19...私の誕生日だ☆なんという奇跡!すごく感動しました。涙が止まりませんでした。これからも応援してます! (2019年12月2日 18時) (レス) id: 8916eccc14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千景 | 作成日時:2019年6月8日 17時

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