5 . 結 ページ5
「...その様子だと居る感じ?」
考え込んでいる俺の様子を見兼ねたのかそう声を掛けてきた宮山。
俺が軽く頷くと
「じゃあ、これ...受け取ってくれる?」
宮山が俺にチラシを少し押し出して来た。
レ「...分かった。」
俺は、渋っていた手を動かしてチラシを受け取る。
宮山の様に、少なからず元気になってくれるなら。
あわよくば実況も再開してくれてまた一緒にゲームも出来るのなら。
キヨくんが活動休止してから、キヨくん以外の3人で実況を良くするようになったが、1人が抜けるだけでも大きな穴が空いてしまったようだった。
此処だったらキヨくんこうやって話すんだろうな、とかそんな余計な事ばかり考えてしまうのだ。
その時ようやく俺にとってのキヨくんの存在の大きさに気付いたのだった。
「...大変だな、香坂も。」
ぼそっと宮山は目を伏せてそう呟いた。
どういう事なのかと聞こうと口を開こうとしたタイミングで宮山はぱっと顔を上げた。
「さ、陰気臭い話はもう終わり。ご飯冷めちゃう、早く食べよっか」
首を傾げて微笑を浮かべた宮山。
レ「...うん」
俺は、ぼんやりとそんな返事を返してスプーンを手に取った。
グラタンを口に取ってみるとまだ少し暖かった。
そこからの、ご飯中の宮山との会話は今となっては思い出せない。
あまりに下らないことを話していたからか、それとも本当に会話を交わしたかさえもよく覚えていない。
一度一つのことを考えてしまうと、その後もずっと頭に残り続ける。
それだけ、頭の中はさっきのことでいっぱいだったのだ。
.
「...美味しかったね」
レ「だね」
いつの間にか空っぽになっていたグラタンの容器を机の端に置き、相手の言葉に相槌を打つ。
「お金は俺が払うから大丈夫だよ」
レ「え、それは悪いわ。俺も払わせて」
「大丈夫。今までの御礼少しでも返したいから、ね?」
そう言い切り、宮山は料金を払ってしまった。
レ「ありがとう」
そう感謝の気持ちを相手に述べると
「いえいえ。久しぶりに話せて楽しかった。また何時でも連絡して」
軽く手を振り去っていってしまった。
宮山に次会えるのは何時になるものか。
暫く彼奴に連絡はしないかもしれない、特に理由はないけれど。
レンタルメモリーズ...か。
俺は、決意を固めた後チラシを手で握り締めて足早に家へと向かった。
27人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちすけ(プロフ) - あぷるさん» 私情の為返信遅れてしまい申し訳ございません;;コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです!前回のお話の後日談とかも沿って書いていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします...!! (2021年7月2日 19時) (レス) id: 8be7e3d78d (このIDを非表示/違反報告)
あぷる - すごく好きです(語彙力)感動したお話をさらに別視点で見れて感動が更に深まりました。更新がんばってください (2021年6月26日 21時) (レス) id: 9ae6da1d4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もちすけ | 作成日時:2021年6月12日 22時