3 . 心 ページ3
レ「レンタルメモリーズ...？」
聞きなれない単語だ、商品か何かだろうか。
その単語をオウム返しにすれば、俺の反応を予測していたのか驚きもせず軽く頷く相手。
「そう。簡単に言えば、人を貸し出してくれるって言うお店。」
人を貸し出す...?!
平気そうな顔をしてそういう宮山を俺は、目を白黒させつつ見詰めた。
そんな犯罪染みたお店があるという事より、なぜ此奴がその店を知っているのかという事に深く疑問を覚えた。
「その彼女に会ったのがそこのお店なの。」
話が上手く飲め込めていない俺を置いて、相手は話を続けた。
「仕事で精神的に弱ってた時に、ネットの広告でレンタルメモリーズっていうのを見付けて。救いを求める意味でも、そこに行ってみたんだ」
「そこで、彼女に会って、貸し出させてもらうことにしたんだけど。」
「あの子凄い優しいんだ。俺が疲れて帰って来てもきちんと受け止めてくれるし、さ？」
「あと少ししたら期間終わっちゃうんだよね。だから、もう同居生活も終わっちゃうんだけどさ」
残念、と眉を下げて頬をかく相手。
何だ??とても普通とは言い難い事が宮山には起きている気がする。
宮山は、人を貸出することに罪悪感という物はないのだろうか？
その借りてきた人のことは本当に彼女と言えるのか？
ただでさえ犯罪すれすれだというのに、なぜこんなに普通に話せるのだろうか？
...それが、おかしいと感じる事が出来ないほどに精神が弱ってしまっているのかもしれない。
「ねぇ、香坂。」
脳裏でぐるぐるとそんな事を考えている時、落ち着いた相手の声が頭に振りかけられる。
「俺って可笑しくないよね、きちんと仕事して彼女とふたりで仲良く家で過ごしてるだけだもんね。ねぇ、そうだよね？」
少し口角を上げてそういう宮山。
その表情には、以前仕事で病みきっていた時の宮山の表情が少し見え隠れしていて。
以前とは変わったようには見えていても、多少は病みが残っているのであろう。
そりゃそうだ、仕事場はずっと一緒なのだから。
...なんて言ってやるのが正解なのだろう。
レ「...大丈夫、可笑しくないよ。」
ただ彼女の存在が、宮山に大きく影響を与えているのは俺にでも分かった。
闇に堕ち込んでいた宮山が多少回復しているのは紛れもなく彼女なのだ。
俺は、相手を安心させるように微笑んでそう返した。
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もちすけ(プロフ) - あぷるさん» 私情の為返信遅れてしまい申し訳ございません;;コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです！前回のお話の後日談とかも沿って書いていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします...！！ (2021年7月2日 19時) (
レス) id: 8be7e3d78d (このIDを非表示/違反報告)
あぷる - すごく好きです（語彙力）感動したお話をさらに別視点で見れて感動が更に深まりました。更新がんばってください (2021年6月26日 21時) (レス) id: 9ae6da1d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちすけ | 作成日時：2021年6月12日 22時
