23 . 居場所 ページ23
「ありがとうございます。お預かり致しました」
キ「では、待たせてるので俺はこれで」
お金のやり取りはあまりにも呆気なく直ぐに終わってしまった。
俺は、椅子から立ち上がり、扉へと足を進めた。
「…どうか、一日一日大切にして幸せに過ごしてください」
俺は、思わず横篠さんの方を振り返った。
横篠さんは不思議な笑みを浮かべていた。
悲しそうともほくそ笑んでいるとも取れる絶妙な表情。
「…案外、”その時”ってすぐ来ますから。…そう、すぐ…」
意味深な言葉を残した後、横篠さんは直ぐパソコンに視線を落とした。
それからは、相手が喋ることは無かった。
もうすっかり俺の存在なんて認識していないようで。
俺は、少しその言葉が胸に引っかかったが、扉を開け外に足を踏み出した。
「あ、キヨさん…」
扉の横にもたれかかっていたらしいAは俺を心配そうに見つめた。
キ「待たせてごめんな」
そんな彼女に安心させるように微笑んでみせる。
「あ、お金とか…」
キ「大丈夫、気にしなくていいよ。」
キ「それにしても、値段が着くなんて考えたこともなかった。なんか変な感覚」
「そうだね。でも、値段が着くだけ…良いんじゃないかな？」
俺に少しはにかんでみせた彼女の顔を見て、やけに心臓が痛かった。
売る方もだが、平気でお金を払ってしまう俺も可笑しいのかもしれない。
キ「さて、…これからは一緒に暮らせるんだから色々計画しないとな！早速、散歩でもしてみる？」
そう言えば、嬉しそうにこくっと頷いた彼女と他愛ない話をしながら歩道を散歩した。
「わ、キヨさん、あそこ見て！」
Aが指さす方に視線を移すと、そこは公園であった。
柵越しでも見える綺麗な梅の花。
キ「見に行ってみる？」
公園へと、足を運ぶとそこには既に先客が居た。
親子、写真家の男性、芝生に座り込んで梅を眺めている女性…。
そこに居た人達全員がとても幸せそうな顔をしていた。
「とっても綺麗…」
彼女は、きらきらとした目で梅を眺めていた。
散ってきた梅の花びらの一片が彼女の頭に着地する。
キ「あ、動かないで」
優しく彼女の頭に乗った花弁を摘んだ。
不思議そうにこちらを見る彼女に花弁を見せれば、Aは嬉しそうに目を細めた。
この幸せいっぱいの空間に自分達が馴染めている。
その事がただただ嬉しくて仕方がなかったのだ。
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もちすけ(プロフ) - 楓さん» コメントありがとうございます！！そう言っていただけてめっちゃ嬉しいです...(; ;)更新意欲に繋がります...！試行錯誤しながらですが、優しく見守っていただければ幸いです。 (2021年1月7日 20時) (
レス) id: 8be7e3d78d (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 最近読ませて頂いております！ 毎回続きが気になり更新を楽しみにしています！ 今後も更新頑張ってください、応援しています！！ (2021年1月6日 22時) (レス) id: 03f9e2cf64 (このIDを非表示/違反報告)
もちすけ(プロフ) - 如月さん» わぁ、コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉...！！もっと作品の質を向上出来る様頑張ります。これからもどうぞ宜しく御願い致します^^ (2021年1月5日 21時) (レス) id: 8be7e3d78d (このIDを非表示/違反報告)
如月 - めちゃくちゃ面白くて楽しませて貰ってます！更新頑張って下さい！応援してます！ (2021年1月4日 20時) (レス) id: 0ce8abb0bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちすけ | 作成日時：2020年12月29日 21時
