22 . 自分の価値 ページ22
キ「そこ段差あるから気をつけて」
「ありがとう」
お昼2時。
一日の中で気温が最も高い時間帯で、季節に反しとても暖かい。
また、ふんわりと巻いた髪を揺らしながら隣を歩く彼女の表情はとても柔らかくなっていた。
敬語を辞めると俺と約束したことを思い出したのか昨日には再びタメ口に戻っていた。
あの時は、気を張っていただろうし話し方など気にする暇が無かったのだと思う。
「1週間短かったね」
キ「意外とね」
扉の前で2人で笑い合う。
例のお店、レンタルメモリーズへの入口だ。
昨日、横篠さんから期限が迫っている、との電話が掛かってきたのだ。
俺は、大きく息を吐いた後ドアノブに手をかけ
キ「失礼します」
足を踏み入れてみると1週間前と全く同じ位置で横篠さんがパソコンを睨み付けていた。
「…いらっしゃいませ。お手数ですが、こちらに来ていただいて構いませんか？」
俺達に気づくや否や直ぐにっこりと営業スマイルになった横篠さん。
言われたとおり、横篠さんが座っていた席の向かいに2人で腰を下ろした。
「…さて。お気持は決まりましたか？」
相手が発したその言葉が意味していることはもう理解していた。
キ「…はい。お願いします」
何処か神妙な面持ちで眼鏡のズレを直した横篠さん。
「そうですか。では、交渉成立という事で宜しいですね。」
俺は、ゆっくりと頷いた。
「ご利用ありがとうございます。すぐ終わるのであなたは少し外で待って頂いても宜しいですか」
横篠さんはキーボードに手を置いたままAの方にちら、と視線を移しそう伝えた。
Aが不安そうに俺を見てくる。
大丈夫、とアイコンタクトを送れば、彼女は横篠さんに一礼し店内から出ていった。
部屋に軽やかなタイピングの音だけが響く。
「…お代金についてですが。こちらのようになります。」
予想していたより安い金額に俺は、少し驚く。
人間のやり取りなのだ、もう少し高いものだと思っていたのだが。
「その方の、年齢や性別、過去などで金額は変わってきます。」
俺の心を読んだように喋り続ける横篠さん。
「自分の価値を見てショックを受ける方も居るのでお金のやり取りは主人の方との一体一で行う規律となっております」
その規律に俺は、納得する。
価値が安いだなんて、生きる意味が無い…と言われているようなものなのだから。
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もちすけ(プロフ) - 楓さん» コメントありがとうございます！！そう言っていただけてめっちゃ嬉しいです...(; ;)更新意欲に繋がります...！試行錯誤しながらですが、優しく見守っていただければ幸いです。 (2021年1月7日 20時) (
レス) id: 8be7e3d78d (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 最近読ませて頂いております！ 毎回続きが気になり更新を楽しみにしています！ 今後も更新頑張ってください、応援しています！！ (2021年1月6日 22時) (レス) id: 03f9e2cf64 (このIDを非表示/違反報告)
もちすけ(プロフ) - 如月さん» わぁ、コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉...！！もっと作品の質を向上出来る様頑張ります。これからもどうぞ宜しく御願い致します^^ (2021年1月5日 21時) (レス) id: 8be7e3d78d (このIDを非表示/違反報告)
如月 - めちゃくちゃ面白くて楽しませて貰ってます！更新頑張って下さい！応援してます！ (2021年1月4日 20時) (レス) id: 0ce8abb0bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちすけ | 作成日時：2020年12月29日 21時
