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この学園で優しくて
顔も良くて
頭もある程度良くて
運動神経抜群で
いい子で
かと言ってちゃんと愚痴もこぼす
憎めない
人気者といえば。

皆、こぞって 虎無 Aと言うだろう。

完璧な人間はいない。俺はそう思っている。
あのトントンですらD Tだし
鬱は女関係になるとおつむが足りない。

そう言ったものを人間は“欠点”と呼ぶ。

完璧であろうとするあまり完璧に脅迫されている。
なんで欠点があいつにもあればまだ可愛げがある方だと思う。

俺は、こいつのことが好きではない。

かと言って嫌いなわけではない。
無関心でもない

生きてる人間がまだ持ってそうな暗い部分や欠点
だれがどう見てもないのだ。彼女には。
人間味がなくてつまらない。

どこか壁を作っていると思うのにその鱗片すら見せない。

泣いた顔も怒った顔も見たことない。にこりと笑った顔しか見たことない。

それゆえ

剥がしてみたいものだ。

彼女に対して。
“そこに存在している”
としか思わない。

「ぐるさんあの子のこと見つめて好きなんか?」

「いや…トントン。あいつが気持ち悪いと感じたことはないか?」

「はぁ、?」

初めて会った時に興味本気で
「そうやって、愛想振りまくのをやめたいと思う時はないのか?」と、一度聞いたことがある。

『よくわかんないなぁ』

彼女の答えはこうである。

「笑顔を振りまくことは、辛くはないのか?」

『振り撒いてなんてないよ!笑いたいから笑ってるだけ
辛かったら笑わないでしょう?』

「そうだが…あんなことがあったとしても俺にはそんな器用なことはできん」

彼女の破顔が一瞬崩れる。
しかしすぐに取り繕ってにっ,と笑うと彼女は俺を見下ろした。

『案外やってみればできるもんだよ!
…やってみなよ!』

彼女は、きっとこれからもそうやって生きていくんだろう。


「冗談でも女のことを気持ち悪いとか言うもんじゃありません」

「これだからトントンはオカンなんていわれるんだゾ」

はぁー?!と頬をつねられ、はよこの書類を終わらせろ!!

と怒られた。

人間はこうでなくては。

楽しかったら笑い
悲しかったら泣き
困ったなら困惑し
腹立たしいなら怒るべきだ。

いつも笑ってばかりの人は

「気味が悪い。」

夕焼けで影ができている。
彼女の後ろ姿。緩いカールが巻かれた栗毛色は夕日を返すことなく光を集めた。

「やれやれ」と首を振るトントンは自分の書類に戻り、俺はホッチキスで書類をまとめた。

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作者名:クロエ | 作成日時:2023年1月25日 17時

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