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『…ふぅ、行ったか』
ポニーテールを縛るシュシュを外すとふぅ、と一息ついた
さて、書類に名前欄記入して
教室にはカリカリという音だけが響く。
『んー、やっぱり親の印鑑押してもらわないとか』
ぐっと伸びをするとペンのインクを乾かすために一度手を止めて外を眺めた
先ほど別れたゾム君と鬱木君が仲良さげに並んで帰る
ふっ、と一度こちらの教室を振り返るゾム君
こちらを見ているかわからないけれど、笑顔で一度手を振ると振り返るのをやめて前を向く。
待ってこれすごく恥ずかしいやつだと再び机に向かい、描きかけの書類と解き掛けの問題を書き出す
わからないところがないのは私の努力の賜物だなと自画自賛して問題を解き進める
しかし満点だと周囲にすごいと壁を造られてしまうかもしれない。
少しだけ解答欄をずらしたりし、平均点くらいの点数を取った。
父親に教えてもらおう。
私と父が、私と母が、私と兄が
私という存在で家族が変わらないように頑張ろう
時計を見るともう、親の病院の時間だ。
足を滑らせて再び入院になってしまった母が気の毒で仕方がない。
『行かなきゃ』
きっと今頃私はどこだと騒ぐ頃だから。
兄さんの手を煩わさないようにいなきゃ、行かなきゃ
でも、予定より10分も遅れている
間に合うかなぁ?
やれやれと腰を上げて片付けを始めると、ちょうど2年生の補修なのか、それともミーティングなのか
2年生が教室に訪れる
しかし、生徒会長と書紀補佐の人が来て
あぁ,生徒会か
と察した。
そそくさと荷物をまとめ富田林さんに軽く挨拶をしてさっさと教室から出ようとした矢先に生徒会長とばったり出会してしまった
「あぁ、虎無か」
『こんにちわ 生徒会長さん』
興味なさそうな赤い瞳が私からふと目を逸らす。
再び私を見て鼻で笑った
「こんなところで何をしてたんだ?補修か?」
『いえ、大学入学の準備です。生徒会長さんはサボりですか?』
ゔっ、と声を上げるが、反論をしないところ多分処理書類がまだ終わっていないのだろう。
「相変わらずだな。」
『そりゃあどうも』
ペコと頭を下げて昇降口へと向かう。
ふん、と鼻を鳴らし教室に入っていく生徒会長さんは私に言った
「相変わらず食えない奴だ。」
『どうとでも。』
軽く会釈をして歩き始める。
「グルさんそんなしてる場合あったらさっさと済ませるで」
あの人からは私たちが楽しく話をしているように見えたのかもしれない。
…なんて単純なんだろう
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作者名:クロエ | 作成日時:2023年1月25日 17時