セイレーンのゆりかご【d!】 (ページ4)

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私たち人間は白黒なんでもつけたがる。
そして、なんでも分け隔てたがる。

たとえば性別。

おとこ、おんな
こんな陳腐なもので分け隔てられる。
最近問題になった心は男(逆も然り)はようやく変わっていくけど理解は少ない。

たまたま好きななった相手が同性だっただけなのに
気持ち悪いと隔てられる。

例えば事件。

間違ったことでも白黒つけて仕舞えばそれでおしまい。
散々弄んだ人たちも謝罪なんてしない。

間に立ったものはどうしたらいいのだろうか。

私は白黒つけるのが苦手だ。
男と女の間に別の性別があってもいいし
本人たちの思惑がある事件はグレーでいいと思う。

個性があると変わり者と言われ
ないのもつまらないと言わられる。

父が医院長と言う地位についていた私は

まぁ、生まれながらにしてそれなりに恵まれた人生を歩んでいたと思う。
幼いころから十分な教育を受けて学業も成績優秀者クラスの所属して
自分で言うのもなんだが他の家庭より秀でていたと思う。

母が病気で倒れるまで順風満帆だと思うし幸せな家庭だったと思う。

父は母を裏切って仕事三昧から海外に出てしまった。
きっと、そこで女も作っているだろう

一度、兄のことで連絡かけた母が女の声を聞いたらしく
そこから母は一層無気力になり、病んでしまった。
ゆっくりゆっくり陰りを見せて、今では陰りしかない母親を見るのは辛かった

私はいわゆる人格者だ。
完璧で、人気者だ

父の病院を継ぐために日々勉強に励み
母のために身を粉にし全てを完璧にこなす。
兄のために父との間を取り持ち

みんなに平等に接し、冗談を言いつつ分け隔てなく接して
かと言って傷つかないように壁を作る。

そうやって努力した結果
今の虎無 Aがいる。
私の存在が構成された。

学校や外は順風満帆で
家は日々壊れそうな家庭を繋いでた。
それも外から見たらすごいことらしく
勝手に株は上がっていった。

あの日。

望くん、もといゾム君に話しかけたのは単なる気まぐれだった。
生徒会長に「人間味がなくて気持ち悪い」と言われたことに腹を立てたから。ってのもある。
人間である以上万人に好かれることはないと思う。

自分の内側の人たちからは好かれていても
外側からはどう思われているかわからない。

クラスで目立たない、畏怖されている彼は
どちら側の人たちなのか見たかっただけだ。

決して、“衝動”なんかに駆られてないのだ。