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バスは病院の玄関ホールで停車した
そこから降りるといつもの病室に行く
「おー！ゾムやないか！」
「クソ雑魚シャオロンちーすw」
サッカー部から野球部に入ったシャオロンは足の腱をやって入院中で
もうすぐ退院するらしく明らかに元気だった
「元気すぎるなぁ！退院したら飯食いにいこや」
「え゛っ、い、いやぁ安慮するわぁ」
「なんでや！」
いつものやり取りしたらふと、シャオロンは俺の荷物を見て「夏休みかぁ〜」と笑った
夏休みはグルッペン達と遊んだりという計画を立てていたのだが、シャオロンは最初のうちは参加できなさそうだ
病院の癖に、というのはおかしいが
ここは他の病院より賑やかであった。
医院長の虎無祐介は人格者だと言われている
それ踏まえて一度、すごいよな、とシャオロンに話したら
「うわ、、むっつりスケベ拗らせるとここまでなるんか」と
どん引かれた事がある。
しかし、これは俺の観点じゃなくて他の人もそう言ってると思う。
それほどここはみんな仲良くて、元気で過ごしやすい。
「そーいや和良さんとどうなったん？見舞いの時間もうすぐやろ」
「まぁ、うん、えへへ、、」
「うわきっしょ」
「むっつりゾムには言われたないわ!」
シャオロンが気になってる幼馴染の子の話をすると最近の様子を伝える。
その後、やっぱり彼女欲しいとか話すシャオロンを茶化すのが最近の楽しみだ
病室でそんな当たり障りのない話をした後は帰り支度をし
帰る途中にあわよくば虎無さんとすれ違わないか周囲を見ながら病院を出る
金曜日は虎無さんの母親の通院の日なのですれ違う確率は格段に高くなる。
ふと、ポケットの膨らみに(あっ)と今日の帰りに落としたウサギのキーホルダーを渡さないといけないことを思い出し、なんて話しかけるか少し考えながら周囲を見渡すと
階段付近で母親を支えながら降りようとしている虎無さんを見つける。
『お母さんよかったね、治ってるって！』
「…」
ふ、と力なく笑う虎無さんの母親は安心したような、安堵の表情だった。
仲睦まじ気な親子。そこだけ穏やかな時間が流れてると錯覚するほどだった。
話しかけるなら今だ
そう思い、「虎無さん」と話しかけようとした時。
虎無さんはフッ、と笑う
あの陰りのある顔で。
それに見惚れていると急に虎無さんは手を離し母親がバランスを崩し
『あっ、！お母さんっ！』
賑やかな病院で悲鳴が上がった
虎無さんと目があった気がして走って逃げてしまった
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作者名：クロエ | 作成日時：2023年1月25日 17時
