セイレーンのゆりかご【d!】 (ページ14)

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今日は1日，そう。母の容態が錯乱状態目になってしまったので珍しく
ずーっと家にいた。

そして夏休みなので家族は病院でてんやわんやだ
家にいなさい

と、父からも言われたが
流石にいつもの生活が身についてしまったのかなーんにもしてないとソワソワしてしまう

買い物？昨日メモに書いた分は全て終わってしまった。
洗濯物は個人で回すようにしているから、回せない。更に量も少ないからすぐ終わった。
掃除もすぐ終わった。

テレビを見てもつまらない
何しよう

考えた末にひとつ思いついたのは

(ゔーん…)
怒られるとはわかっているけど、猛暑日でなおかつ暇なのだ。
外出…その考えが頭に残り、、しかし急に帰ってきたら怒られてしまう。

考え抜いた末に私は

『…そう。お友達が，恵子ちゃんって言うんだけど…』

『そう、その恵子ちゃん。警察官の。行っていいかな?』

『もちろんすぐ帰ってくる。行き帰りは恵子ちゃんに送ってもらうよ』

『もぉ…はい。わかったよ』

ガチャ，と電話を切ると叫びたいのを我慢して部屋に走る。
いつもなら歩きなさいと叱られるのだが
今日は誰も居ないからいいでしょう？

撥水性のバックにひとしきりの道具があるのを確認。
早る気持ちを深呼吸で落ち着かせると行きとは違い、静々とすり足で玄関へと向かい，靴を履く。

『行ってきます』
ﾊﾟﾀﾝ
……………………………

澄んだような透明をかき分け
小さなサファイアを上げ
ここがテリトリーのように泳ぎ回る

あぁ。人魚を見た。と思った

水上に顔を出しすぅ、と息を吸ってそのまままた潜る。
イルカのようなその鋭い泳ぎと、水と一体化したような静かなフォルム。

綺麗だ。と感じた。

自分の感性はまだ腐っては居ない。しょうもなくなってしまっただけで。
きっと彼女は自分に正直なんだろうなぁ。と羨ましくも感じた。
羨ましがってばかりはダメだ、もう少し頑張らないと
認めてもらいたいし。
勉強も、運動だって今一生懸命だ。
それなら説得だって一生懸命やろう。

プールで泳ぐ彼女に勇気をもらったなぁ、
プールサイドへと上がると置いてあったタオルで顔を拭く。
そろそろ帰ろう。変に不振がられたら困るし。

『あのー、すみません。』

振り返ると自分より背の小さい子が俺をじっと見ていた。

『タオル、間違えてません?』

指さされたタオルは確かに

“虎無”と書かれていた。