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不良だと勘違いされてクラスから孤立した俺と
優等生でありクラスから一目置かれてる虎無さん
俺たちの出会いは中学のプールの授業だった
ただ、だるくて、面倒だったという理由で休んでいた俺に『やっほ』と声をかけてきたのが虎無さんだった
「お、おぉ」
『ええと、ゾム君だっけ?
ごめんね、トントン君が君のことそう呼んでたから』
あだ名しかわからなかった
そう笑う虎無さんは日光の光もあって、この場のどんな人より輝いて見えて、目眩すら覚えた
「こ、ここ、虎無さんは、ななな、なにしに」
『あっ、ごめんね、驚かせちゃったかな?』
興奮してしまうと出てきてしまう吃音にも、には、と笑って「オタクみたい」という偏見も持たずにごめんね、と笑っている
「だっ、大丈夫」
『あ、虎無じゃなくてAで呼んでよ
もはや先生も名前で呼んでるし』
いやはや、暑いねぇ〜と笑う虎無さんは俺がぼーっとしてるから保健委員として気になってきてしまったという
思春期真っ只中の俺としては現に目のやり場に困る。という理由で遠くを見ているだけなのだが。
シャオロンやシッマがいたら下ネタトークに華でも咲かせるのだが、あいつらは今日部活の遠征で休みだからそういうわけにもいかない。
馬鹿正直に話すほど仲良くないし、クラスメイトだからとりあえずそれとない返事と相槌を打つと別の人から虎無さーん、と呼ばれてそちらをみる。
『ほんと、楽しそうだよね』
そう、ぽつりとつぶやいた虎無さんは顔に陰りがあり
その顔に気を取られているとその場からいなくなっていた。
ベンチに残る、彼女の座った後の濡れた尻の形と、髪からポタポタと流れ出た水が乾くまで“そこに虎無さんがいた”ということを現実だと教えていてくれた。
その憂いを帯びた陰りの顔がなぜか、ずっとずっと、忘れられずに今までふと、気がつけば虎無さんを見ていた。
中高一貫の学校だからよく、中学生の勉強を見たり
保健委員として怪我した人を保健室に連れて行ったり
理科準備室の整理は先生に信用されているんだなという印象だった
実際話したことはあの後数回しかなく、それも俺の勝手な妄想で挨拶したくらいだ。
同じ地域に住んでいることは、高校生になる前の春休みで知った
シッマやトントンたちとワニが出るという噂の川に行った後
母親の車いすを押す彼女を見た
遊び盛りのこの時期なのに、母親の世話をして、買い物に行ってる姿を見て
哀れだ
と思っている自分がいた
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作者名:クロエ | 作成日時:2023年1月25日 17時