time sharing house～日常茶飯事～ (ページ6)

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　どのくらい課題に集中していたのか。
古めかしい振り子時計を模ったアナログの時計が刻む秒針、光がキーボードを叩く音。
そのふたつだけが響いていたリビングの外から、慌ただしい気配がして。

　ん？と顔を上げればほぼ同時にガラスのドアが外から開いた。

　「ただいま！」

　「おかえり、大ちゃん」

　「おかえり～」

　ドタバタと入ってきたのは、光が起きて待つと決めていた大ちゃん。
バイト終わりで疲れている様子もなく、むしろ逆にハイテンション。
ま、元気なのはいつものことなんだけど。

　ただ、もう真夜中。
騒ぐ時間でもないし、なにより―――

　「大ちゃん、ちょっと―――」

　「ほら有岡くん、静かにして」

　２階で眠っている中学生ふたりを起こしても困る、と光が大ちゃんを咎めようとしたと同時。
大ちゃんの後ろから現れた影が、大きな手でその口をしっかりと塞いだ。

　そのまま耳元で心地良く響く低音ボイスで静かにするよう諭して。

　見ように依ってはバックハグ状態で、秘め事を囁かれているような感じ。
それもその声で多くのリスナーを惑わしている、と評判のラジオＤＪにそれをされると。

　気恥ずかしくなったのか、口を塞がれたまま大ちゃんはわたわたし始める。
身長差から上目で相手――髙木を見つめ、解放してくれと訴えて。

　「もう大きな声出さない？」

　聞かれて全力で頷いている姿が子どもみたいで。
見ているこちらとしては微笑ましい光景なものだから、思わず笑みが零れるけど。
当の大ちゃんにしてみれば、そういうわけにもいかないらしく。

　「心臓止まるかと思った・・・」

　「そんな大袈裟な」

　胸に手を当ててゼーハー息をしている大ちゃんを見て苦笑している髙木。
大袈裟、とは言うけど・・・自分のその声、どれほど破壊力あるか自覚してほしいものだ。